ご挨拶

~ 2021年の決意 ~

田の上いくこ

この4年間は、今までの政治活動をしてきた十数年間とはまったく異なるものでした。

民主党時代に、何度も何度も必死で訴えても実現に至らなかったものが少しずつ実現していく。

たとえば、都立高校に特別支援学級をつくるべきだと主張したのが10年位前です。公立の小学校や中学校には特別支援学級・通級があるのに、都立高校にはない。小学校中学校で特別支援学級に通っていた生徒は、特別支援学校に行くしかない。他の選択肢がなかったのです。

こういったことが、時間を経て部分的にではありますが、実施されることになりました。

民主党時代には、出産時の費用の高さも問題にしていました。都内の病院で出産すると、他自治体の出産平均費用と比較して10万円程度高いのです。 2年前(2019年)の平均で63万円弱です。
高齢出産等では、大きな医療機関にしか受け入れてもらえないため、その高額な出産費用を捻出しなくてはなりません。

しかし、10年前、女性の声や多様性は蚊帳の外だった都政では、重要視されませんでした。

昨今「赤ちゃんファースト」として、令和5年3月31日までに都内で出産(住民票も都内)した場合に、コロナ禍の中での出産応援として10万円分のポイント付与ができる「東京都出産応援事業」が実現しました。
これは、都民ファーストの女性議員が出産費用の自治体格差「10万円」を問題提起し、実現した施策です。

また、2019年に建築物バリアフリー条例が改正され、全国初の宿泊施設に係る規定となりました。ホテルの客室の入り口の幅や、ユニットバスのドアの幅などが規定され、条例改正案として議会審議となりました。
しかし、せっかく全国初の宿泊施設のバリアフリー条例なのに、車いすユーザーたちからは、「これではユニットバス(トイレ)に入れない」という声が上がったのです。
「どういうことでしょう?」

車いすは体の大きさや用途によって種類がたくさんあります。手動もあれば電動もあります。車いすについている車輪もいろいろです。
一番小さな手動の車いすなら、簡単にまがることができても、少し大きいものは、広い角度でしかまがれません。

車いすの構造上、直角に移動することは、そもそもできない。
しかし、すでに条例案が出来上がってしまっている・・・。

私はイチかバチか、資料を添えて、都知事をはじめ、担当局の方々に直談判。
討議を重ねました。

そして、最終的に、ユニットバスのドア幅に「努力義務」規定が加わり、車いすが何とかまがることができる間口に。
さらに、「見直し規定」をつけて、数年後に情勢を見て改正できるようになりました。

耳を傾けてくださった小池都知事、そしてお骨折りくださった都市整備局の皆様に心より感謝申し上げる次第です。

あるとき、都民ファーストの会の会派に「多胎児」を育てる保護者の方々が集まりました。
双子ちゃんたちです。
ママさんたちが、本当に外に出られないのだと、涙を流しながら訴えていました。
双子ちゃん。外から見ると本当にただただ可愛いのですが、
ふたり同時に眠るわけではなく、乳児に3時間おきにミルクを飲ませなくてはならないママは、合間がなく、まったく眠れない日々。
そして、大きなベビーカー。実際に触らせてもらうと、何と重いこと。
ひとり乗りのベビーカーと違って、自転車以上のしっかりとしたタイヤ。
電車は何とか乗れますが、バスには乗ることができない。断られてしまう。

交通局に聞いてみると、バスは揺れるので危ないから、折りたたまないといけないとのこと。
確かに、車内でベビーカーのタイヤが動いてしまったら大変です。でも、双子ちゃんを両手に抱っこして、さらに荷物を抱えた保護者は、どうやってベビーカーを折りたたんで乗車するのでしょう。
ひとり乗りのベビーカーでさえ、座席に座れないなら、赤ちゃんを抱っこしながら折りたたむのはかなり困難です。

ここから、私たちは頑張りました。
現場の乗務員さんとの話し合いも重ね、とうとう実証実験まで持ち込みました。

メーカーにも相談が必要。もっと軽くならないのか、バスにくくりつけられないのか。
交通局の皆さんも必死に方法を考えてくれました。

さまざまな試行錯誤を繰り返し、とうとうモデル運行が始まりました。
病院の多い路線と、江戸川区南部。

こうして、私たちは、何度となく挑戦をし、実現までこぎつけてきました。

これまで長い年月を政治家として活動してきましたが、
これほど実のあった4年間はありませんでした。

私は、これからも都民の声を聞きながら、都政改革に努めてまいりたいのです。
どうぞ皆様の生の声をお聞かせください。東京大改革をさらに進めてくために、一層のお力添えをよろしくお願い申し上げます。

2021年5月
田の上いくこ

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