議会質問

都議会質問 意見陳述 文書質問 意見書可決

経済・港湾委員会(産業労働局) 議事録

2012年09月15日

雇用について 2012.11.15

<障害者雇用>

 障害者雇用については、これまでにも多々質問してまいりました。平成23年には、障害者基本法の改正により、差別禁止を含め、障害の有無に関わらず分け隔てのない共生社会を目指す目的が掲げられ、障害者の定義の見直しも行われました。また、改正により雇用の促進や個々の障害者特性に応じた適正な雇用管理も一層求められます。しかしながら、障害者雇用には、障害に対する理解や制度普及、法令遵守などさまざまな課題があり、一長一短には進みませんでした。まず雇用されること、そして長期雇用されること、自立できることが障害者本人には必要である一方、事業者は、義務化された制度からまず入り、障害の理解が後からついてくるという状況です。こうした中、障害者雇用に積極的な企業は、障害者に仕事をつくること、継続的に雇用することにさまざまな工夫をし、努力をしています。

① 東京都中小企業障害者雇用支援助成金は、平成20年に障害者の雇用定着支援のため、特に障害者雇用が進んでいない中小企業を対象に制度化されました。障害者を雇用し、特定求職者雇用開発助成金の支給を受け、平成20年3月31日~平成25年3月30日までの間に支給対象期間が満了となった後も、引き続き雇用を継続する事業主であることが要件となっています。以前より申し上げていますが、雇い入れに際し、数十万円の助成金を受け取るよりも、浅くても長い支援が継続雇用の鍵となります。障害者の長期雇用継続のための支援について積極的に検討すべきと考えますが、所見を伺います。

 以前にもジョブコーチの派遣期間についての質問をさせていただきましたが、定着のためには、制度の応用は常に考えていかなくてはいけませんし、施策の評価をしっかりとしていくことが必要です。来年度以降も引き続きこの助成金の制度を継続していただきたい、さらにはより長い雇用継続のための支援へ発展させていただきたいと要望いたします。

② 国の特定求職者雇用開発助成金は、金額は半分ほどになってしまいますが大企業も対象です。一方東京都の助成金は中小企業のみが対象となっています。就職者の雇用継続のためには、企業の大小ではなく、就職者の視点が最も大切です。大企業も含めての助成を検討するべきと考えますが、ご所見を伺います。

 全国の企業数の2割強を抱える東京都は、雇用率の達成企業の割合では、企業の数の多さもあって、ワースト1となっています。中小企業で雇用を促進させることは、当然必要ですが、同時に「障害者の就業の場を増やす」ということが重要です。障害者雇用をして助成金を受け取って、すぐに解雇するのでは困ります。雇用継続においては、さまざまな角度から支援の必要性を検討していただきたいと要望いたします。

③ 障害者の雇用の促進等に関する法律が改正され、平成22年7月からは、障害者雇用納付金制度の対象が常用雇用労働者200人を超える事業主にまで拡大され、平成27年4月からは、100人を超える事業主にまで拡大されることになります。また、平成25年には、法定実雇用率が2.0%になります。中小企業に一層の障害者雇用を促すためにさまざまなご努力をされていることは理解していますが、一番の効果的なことは、良い導入事例を知ることだと考えます。そのためには、企業間の交流が必要です。中小企業の連絡会のような交流の仕組みをつくるために都が支援をするべきと考えますが、ご所見を伺います。

 東京しごと財団において、セミナーでの事例紹介をしたり、情報交換を行う企業情報連絡会に中小企業も含まれているとのことです。是非中小企業の抱える課題に耳を傾ける場を増やせるようご努力をお願いいたします。

<メンタルヘルス>

① 厚生労働省の平成23年度「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」まとめによると、精神障害の労災請求件数が3年連続で過去最高を更新しています。平成23年度の請求件数は、1,272件でうち自殺・自殺未遂が202件の請求となっています。また、過労死など脳・心臓疾患に関する労災補償状況では、平成23年度898件で2年連続増加。また、そのうち死亡が302件の請求となっています。私の身近でもうつと診断されて精神科に通う人や病気休暇をとっている人が少なからずいます。もはやどの業界でもメンタルヘルス対策は他人事ではないと考えます。平成23年の労働者健康状況調査によると、メンタルヘルスケアに取り組んでいる事業場の割合は43.6%と平成19年の調査に比べて10ポイント上昇しています。徐々にメンタルヘルスについての認識も向上しているように思われます。東京都では、職場におけるメンタルヘルスの状況についてどのように認識をしているのか伺います。

② メンタルヘルス不調を防ぐためには、職場環境を整えることが重要です。パワーハラスメントやセクシャルハラスメントの対人関係など、継続するストレスが原因となることもありますが、昨今は労働組合がない、または組合があっても機能していない企業も多いと推測します。メンタルヘルスに取り組む企業のうち、実際に専門スタッフなどを配置し相談体制を整えることもなかなか難しいのではないかと推測します。企業がメンタルヘルス対策を進める上での課題について都はどのように認識しているのか伺います。

 取り組み方がわからないという企業に対しては、助言をしていくことも必要ではないかと考えますので、要望といたします。

③ 都では、メンタルヘルスに関するセミナーなどを開催しています。しかしながら、多くの企業のトップの意識は、メンタルヘルスにまで及ばないというのが現状ではないかと思います。実際にメンタルヘルスによる長期休職や最悪なケースでは自殺などに至らなければ、重要性に気が付かないこともあります。さまざまなケーススタディも含めて指導を行うべきと考えますが、産業労働局では、どのように普及・啓発しているのでしょうか?また、職場復帰においては、厚生労働省でつくっている「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」がありますが、周囲の理解がなければ、なかなか復帰が成功するものではないと考えます。障害者雇用も同じですが、精神障害は、見た目でわからないため、障害特性の理解を得られず、早期離職になるケースもあります。同様に心の病を抱えていた労働者の復帰においては、職場全体の理解が必要です。企業のトップのみならず、職場全体にメンタルヘルスについて普及していくことが必要と考えますが、併せてご所見をお伺いいたします。

 東京商工会議所が9月20日にまとめた中堅・中小企業の「従業員の健康づくりに関するアンケート調査」によると、従業員のこころの健康についてサポートする社内風土や取組がある企業は31%、ない企業は67%という結果でした。今後、メンタルヘルスの重要性をさらに普及させていく必要があります。メンタルヘルス対策を推進する人材の育成の「メンタルヘルス推進リーダー養成講座」を含め、積極的な普及・啓発をよろしくお願いいたします。

④ メンタルヘルスの不調は、正社員だけではありません。パートや契約社員など、非正規労働者にも及びます。会社の制度が利用しにくい非正規労働者において、どのような工夫がなされているのか伺います。

 非正規労働者の方は、メンタルヘルス不調になったときにも救済の方法がわからない、最悪のケースでは辞めさせやすいのかもしれませんが、簡単に雇い止めが行われないよう、また不調を未然に防げるよう利用できる相談体制についての普及もしていただきたいと要望いたします。