議会質問
都議会質問 意見陳述 文書質問 意見書可決経済・港湾委員会(産業労働局) 議事録
都議会質問 2010年09月28日
森林資源
木材の生産量と価格は年々減少し、林業生産活動が停滞する原因となっています。伐採してもお金にならない、それは、伐採放置林や管理放棄林の増大を引き起こします。また、さらに間伐材や枝葉の利用は利潤が生まれにくいことからなかなか進まず、間伐材が除去されずに残され、荒廃した民有林が課題となっています。
産業労働局は、森づくり推進プランにおいて、森林整備と林業振興について体系的に計画を立てて取り組み、「10年後の東京」実行プログラムの「森林の循環再生プロジェクト」では、森林の循環の回復に取り組んできていると認識しています。
① 東京都では、年間1,000ヘクタール程度のエリアで杉、ヒノキを間伐していると聞きますが、間伐材が搬出される森林は、面積に換算して約30ヘクタールしかありません。林道網のさらなる整備が必要なことや、搬出経費が高いことが、間伐材を搬出できない原因となっています。
木材供給を促進することは、林業の再生だけでなく、健全な森林保全に貢献します。間伐材や枝葉を活用した資源循環の受け皿については、さまざまなアイデアが提起され、技術開発が行われています。資源循環の受け皿として、今まであまり利用されてこなかった間伐材や枝葉が積極的に活用され、需要が多くなれば、放置されている間伐材を取り除き、健全な森林を取り戻せるのではないかと考えます。間伐材や枝葉の利用について、すでに取り組んでいることがあればお聞かせください。
② 例えば、活性炭は、すでにごみ焼却施設などにおいてダイオキシン類除去に利用されていますが、間伐材や枝葉を活用し、消臭やダイオキシン吸着として効果のある活性炭をつくれば、東京都の下水道施設やし尿処理施設などで、石炭系の化石燃料から森林資源を活用した活性炭利用へと変更することもできるのではないかと考えます。
森林資源を活用したウッドミックス舗装で、公園などの遊歩道をコンクリート舗装から資源循環の道へとしていくことができるのではないか、などさまざまな活用が考えられます。間伐材や枝葉の有効利用で需要を拡大するために、今後さらに受け入れ先の拡大に取り組んでいく必要があると考えますが、ご見解をお聞かせください。
③ 間伐材などの受け入れ先を増やすことで、搬出を促す。同時に、搬出するための林道整備をするという、2つの側面が重要だと考えます。
ですので、おっしゃる通り、森林の整備を促進するために、基盤となる林道や作業道等の整備が不可欠だと考えます。「森林の循環再生プロジェクト」では、林道を重点的に整備するとされていましたが、どのように行われてきたのか、その成果・進捗状況についておしえてください。
林道整備は、所有者との話し合いも含め、なかなか簡単に進むものではないと思いますが、引き続きご努力いただきたいと思います。多摩産材の活用では、今までにも産業労働局がさまざまな分野に広げてきたと認識しております。
先ほど申し上げました間伐材や枝葉の活用幅がさらに広がれば、間伐材の搬出を促し、森林整備及び森林保護を進むものと考えますので、林道整備も含めて、業界の方々との話し合いを進めながら、今後とも東京の貴重な資源である森林の整備及び保護に努めていただきたくお願いいたします。
障害者雇用
民間企業の障がい者雇用率平均は、以前に比べればだいぶ改善されたとはいえ、平成21年6月で東京都が1.56%、全国では1.63%でいずれも1.8%を下回っている状況です。そんな中、障害者の雇用の促進等に関する法律が改正され平成21年4月より施行されました。今年7月からは、障害者雇用納付金制度の対象が常用雇用労働者200人を超える事業主にまで拡大され、平成27年4月からは、さらに常用雇用労働者100人を超える事業主にまで拡大されることになります。今までは、大企業にしか課されていなかった雇用の義務が段階的に100人以上の規模の事業主にまで課されるということです。
また、それに伴って週20時間以上30時間未満の短時間労働者も0.5としてカウントされるようになりました。障害者の就業希望の増大に伴い、就労先も開拓しなければならない中、雇用促進のための法改正です。産業労働局では、東京ジョブコーチ支援事業や、特例子会社設立支援事業、中小企業障害者雇用支援助成事業などの雇用促進策があります。国のさまざまな雇用促進の事業や助成金などとともに、障害者雇用を進めるものです。
そこで、質問です。
① 猶予期間としての減額特例が5年間あるとはいえ、平成27年には100人以上の規模の事業主にも事実上障害者雇用が義務付けられるわけですが、本格的な景気の回復が見られない中、また円高の進行が止まらない中、苦しんでいる中小企業は、リストラをしたり、経費の削減を図ったりと大変な状況です。
都がこれまで企業に対して障害者雇用の理解に努めてきた経緯はわかりますが、現実的に障害者雇用にまで手がまわらない中小企業に、どのように障害者雇用を促していくのかお考えをお聞かせください。
② 国や都のさまざまな助成金もありますが、あまり周知されていないと聞きます。規模の小さい企業への取り組みには、助成金などの制度のさらなる普及に努めていただきたいと思います。
私もいろいろヒアリングを重ねてきましたが、障がい者のデイサービスの事業所でさえ、障害者雇用によって費やす時間や労力は、実際は大変なものだと言います。国の賃金助成と合わせて、中小企業障害者雇用支援助成金の月額1万5千円を受け取ったところで、こんな不景気で大変な中、中小企業がやっていけるのかという懸念があります。国の方向性として打ち出してはありますが、現実的には乗り越えなければならない課題が多いと思います。
そこで、今後の雇用促進の課題と解決策を模索するために、中小企業に対して障害者雇用に関するアンケートなどを実施し、検討材料としたらどうかと考えますが、いかがでしょうか?
③ 企業に対して調査を行っているとのことですが、今後一番課題になってくるのは、大手よりも中小企業であります。実際に中小企業が障害者雇用を進めるためにどうしたらよいのか、中小企業の生の声を聞くための取り組みが必要と考えますが、いかがでしょうか?
④ 意見交換された課題などを是非活かしていっていただきたいと思います。また、冒頭東京都の雇用率に触れさせていただきましたが、今まで雇用率未達成の企業がなぜ達成できなかったのか原因を探っていくべきだと考えます。
障害者雇用促進法は、雇用促進を図るため仕方ないとはいえ、事業主に対する義務づけの法律です。雇用率は身体障害と知的障害の重度障害者を週30時間以上で雇用すると2カウントですが、重度でなければ1カウント、週20-30時間だと0.5カウントです。こうした計算のもと、軽度の知的障害の方が雇われにくいと聞いたことがあります。
そもそも、法定の雇用率を満たすために雇用するだけで、生産システムにカウントしていないため、こういった状況が起きるのではないかと考えます。いろいろヒアリングを重ねていくと、障害を持った方たちは、就労したはよいが、続かない。やめてしまうことが多いと聞きます。企業側は雇っただけで、実際には企業を支える働く一員になっていないため、精神的に続かない、コミュニケーションが図れないなどという問題があるようです。
障害者雇用を進めるにあたって、企業向けのシンポジウムやセミナーなども開催されていますが、社会でバリアフリーやユニバーサルの普及ができていない中、企業側に認識が不足しているのは否めません。
現実的に申し上げれば、障害は就労においてハンディキャップであり、その事実も「込み」で雇用する意識がなければ、障害者就労・障害者雇用は、形だけになってしまうのではないでしょうか。インクルージョンの考え方など、啓蒙、啓発を含めた企業への働きかけをするべきだと考えますが、ご見解を伺います。
⑤ 意識を高めることが本来一番大切であり、義務で雇用するだけでは限界があります。是非力を入れていっていただきたいと思います。
就労支援に関しては、区市町村の障害者就労支援事業などの訓練を経て、一般社会での就労になるわけですが、企業システムの中の訓練ではないため、実際の就労においてギャップが生じると聞いたことがあります。
受け入れ側も就労者もある程度の共通認識を持った上で就労に到るように、創意工夫が必要です。例えば企業内研修などのような形で訓練を実施するように促すことなどはできないのでしょうか?ご見解を伺います。
⑥ 現場に即した訓練になるよう、是非企業のみならず就労者の視点からも工夫した訓練をお願いしたいと思います。
厚生労働省の平成20年度障害者実態調査によると、雇用するに当たっての課題に、「従業員が障害特性について理解することができるか」が挙げられています。仕事において障害特性を理由にしてはいけないということはありますが、障害種別の知識がないと理解できない部分がたくさんあります。
例えば、精神障害の方は、一見して障害がわからないため受け入れられやすく、比較的雇用されやすいとも言えると思いますが、その後問題が発生すると、双方の立場から継続が難しいとも聞きます。企業においても障害特性に関する理解を高めて、雇用継続に向けての工夫が必要だと考えますが、ご見解をお聞かせください。
⑦ ジョブコーチを活用した支援を行っていることは理解しております。しかしながら人数の限りがあることや20日という支援日数が決められていることもあり、すべての対応ができるのだろうかという懸念もあります。必要に応じて延長するなどの工夫も必要ですし、先ほど例示させていただいた精神障害の場合のように、いったんは終了したジョブコーチであっても、就労の継続にあたって発生した問題に対応できるような柔軟な取り組みが必要だと考えますが、ご見解を伺います。
⑧ 産業労働局では、今まで国の事業に補完したり、また新たな視点から、さまざまな取り組みをしてきました。しかし、個々の事業は、一貫したものではなく、福祉保健局や教育庁などと連携しながら体系的な仕組みをつくり、就労支援のみならず雇用継続に向けての取り組みをしていくべきではないかと考えます。
受け入れ側の企業における啓蒙、マッチング、就労訓練、問題を克服し継続就労という具合に一連の流れの中で必要な支援を考えるべきではないかと思うのですが、ご見解をお聞かせください。
産業労働局さんの細かな取り組み、対策については理解をしているところです。ひとつ一つ必要に応じた施策を立てることも大切ですが、全庁的な障害者への理解のもと、教育から訓練、就業、心のケアまで含めた一貫した流れの中で対策を工夫していっていただきたいと思います。今後もさらなるご努力をお願いいたしまして、質問を終わります。