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経済・港湾委員会・築地市場の移転・再整備に関する特別委員会合同審査会 議事録

2010年08月24日

汚染物質処理に関する実験と土壌汚染の対策

(1) 盛り土の汚染で、健全土としているという認識について、健全土という表現を使っているけれども、盛り土というのは基本的にきれいだという認識であるとのことでした。その理由として、土地の履歴、それから化学性状試験をしていたから搬入土に汚染はないという判断であるというふうにおっしゃっておりました。それでまた、今回、二千立米に一回という化学性状試験が行われなかったから第十三回の技術会議にかけましたとのことです。
ただ、技術会議も、専門家会議にも、絞り込み調査の結果が報告されていたはずです。専門家会議の第八回には、絞り込み調査の結果は報告されていて、そして、また専門家会議の報告書の中にも対策が書かれているとおっしゃっていたと思います。 それはすべて、また技術会議に専門家会議で話し合われたことはそのまま資料として配布されているわけであります。第一回の技術会議、ここでその絞り込み調査の結果は配布されている。そして、ついでにいうと、ホームページにも平成二十年の七月にアップされています。それなのに健全土であるという表現を技術会議がするというのはおかしいと思うのですが、ご見解をお聞かせください。

(2) 技術会議にも資料が提出されていました。それを見て、絞り込み調査の結果を経て技術会議の報告書(平成二十一年の二月)の中にその盛り土は健全土であると書かれています。このことについてお伺いします。

(3) 絞り込み調査では、表層土の五十センチ、旧地盤面から上五十センチのところで調査しているんですよ。そこの結果が出ていて、見ているはずです。それなのに報告書に、健全土と書かれています。 しかも、具体的に一三ページにありますが、ガス工場操業時の地盤面から上に盛り土されている土壌については健全土であり、汚染土壌の掘削処理の後、埋め戻し土として利用するとなっています。今まで汚染対策をしていくといっているところに、掘削した後にそれを埋め戻すといっているんです。認識が違うのではないでしょうか。

(4) 非常に矛盾していると思うんですけれども、専門家会議では対策をするといっておきながら、技術会議では報告書に健全土として扱って、埋め戻し土に使うとあります。どういうことなのでしょうか。技術会議の委員さんたちが資料を読んでいなかったということでしょうか。それで報告書をまとめたんでしょうか。

(5) そもそも、東京都だってこの絞り込み調査の結果はわかっているし、その途中になっている、百十七条の調査だって途中までは出ているはずです。それなのに、報告書にそういうふうに健全土と書いて埋め戻すといっている。その姿勢にやはりちょっと疑問を感じざるを得ないと思っております。以前、経済・港湾委員会で増子委員が質問したときにも、地盤解析データについて、技術会議の委員さんがほとんど読んでいないというようなお答えもあり、一体どうなのかなというふうに思っております。この技術会議というのはすごく大切な会議ですよね。今回の実験のデータ結果があって、そして次に技術会議、そこでお墨つきをいただく、この二段階になって有効性を確認するという技術会議なので、本当に非常に慎重にしていただきたいと、そのように思っております。 第十三回の技術会議では、その盛り土の汚染について改めて話し合われるということになったので、今は、健全土ではないという認識でよろしいんでしょうか。

(6) そもそもこの技術会議、第十三回の公開の会議でございますが、二日前に告知となって急でございました。委員の方の中には、本来であれば、あらかじめもらっているであろう資料を初めて見たとおっしゃるようなこともございました。非常にこの結果をまとめるに当たって軽いのではないかなというふうに思っています。七月二十二日の会議を経て、八月二日で結果報告、報告書というものを出すのに当たって、一体こういう姿勢というのはどうなのかなとちょっと疑われるものでございます。次に、実験における地下水の対策について伺いたいと思っております。地下水については、揚水、復水の量のデータがありません。揚水、復水の量がわからない理由をまず教えてください。

(7) 汚染対策では深部に届かないところが出てきます。地下水がある限り汚染は移動して横に流れたり、上部に上がったりするわけです。完全な地下水の汚染除去は難しいので、最終的には水位を管理していくしかない。だからこそ、どれだけ揚水できるかは非常に重要です。くみ上げの必要な水量、揚水井戸のポンプ数、ポンプの揚水能力を計算して、ポンプの台数を決めるというはずでしたね。揚水量がわからなければ、どれくらいのポンプ能力が必要なのかも処理プラントの能力も判断できないのではないかと思うのですが。地下水実験は、まず3つの地点で行い、内2箇所が環境基準以下の初期値だったため追加実験を2地点で行いました。<図>追加調査のNo.17を図にしてみました。5日間かけて揚水し、A.P.+1.66m程度。半分程度の地下水が残る形です。つまり、汚染は全部吸い上げられず、そこに水道水が復水という形で入っていきます。水道水を投入してから2日間でまた揚復水を繰り返すわけですが、汚染が残っているのに水を入れるですから、ポンプで吸い上げられなかった汚染は、染み出すのにも時間がかかるはずです。ところが復水してすぐに計測されているので当然値は低くなります。水道水ですから。そして、またほとんど時間をおかずにまた揚水・復水となっていくのです。水道水で薄めて、汚染が染みないうちにまたとって薄めて・・・となり、汚染自体がとれないのではないかと推察いたします。観測期間が足りないのです。実験の仕様書を見ると、分析頻度は3週間に1回、回数は各実験箇所で5回となっています。単純に計算すると15週105日間です各実験を2週間程度で終わらせてしまった理由は何でしょうか?

(8) 仕様書では、変更時監督の判断となっていましたが、東京都が判断して終わらせたということでよろしいでしょうか?

(9) このような実験が完結したとはとても言えないと思います。ポンプは仕様を変え、当初1分間に10Lの汲み上げ能力だったものが1分間に20L以上汲み上げられるものになっていました。なぜ仕様を変えたのでしょうか?実験ですので、同じ仕様のものを使わないと結果として意味がないと思います。素人でも条件が異なれば、同じテーブルのデータでよいとは誰も思わないのではないでしょうか。

(10) 仕様書によると、中間報告のために3月9日を期限とし報告することになっており、地下水の実験も実験途中であっても3月9日までに得られた分析データ等を東京都に報告するとなっています。契約期日である6月30日までに実験を終わらせられなかった理由は、確か地下水の2か所No.14と16が環境基準値以下で、追加実験したからでしたよね。なぜ6月16日まで追加実験を考えなかったのでしょうか?

(11) 6月30日までの適用実験の予定だったのですから、6月16日もしくは18日から始めれば、終わらないということはわかっていたはずです。仕様書では実験途中でも業者が都に3月9日までにデータを報告することになっていました。少なくとも3月9日の中間報告のときにすでに実験が開始されていたNo.16については、環境基準値以下で実験にならないとわかっていたはずです。なぜ、中間報告で発表しなかったのでしょうか?

(12) 少なくとも何が実験中で、何が実験として成り立たなかったのか報告すべきだったのではないでしょうか。3月の中間報告では、実験の有効性を確認したと発表していましたが、おかしいのではないでしょうか。この追加された地下水のベンゼンの実験は、ガス吸引が省略されていました。技術会議の中でも発言されていましたが、理由を再度おしえてください。

(13) 昨年私が質問した時にはトリータビリティではないとおっしゃっていましたが、実証実験でもないとのことでしたね。第13回技術会議の資料によると、汚染物資処理について技術会議が定めた技術・工法を現地の汚染や土質状況に即して適用し、確実に無害化が可能であることを確認する目的で「豊洲新市場予定地の汚染物質処理に関する適用実験」をしたとなっていますが、ご確認ください。

(14) それであれば、技術会議に基づいた工法で実験をするべきではないですか。つまり、工法は提案されたものでなくてもよくて、結果を出すためのもの。単に汚染を除去できると結論づけるための実験だったのですか?

(15) いったい何のための実験だったのでしょうね。結論ありきで進めていたように疑いたくもなります。地下水のみが汚染されている箇所とは、2008年3月に詳細調査で調べた汚染箇所かつ土壌の掘削対策工事範囲外で地下水が単独で見つかった場所を指しているかと思うのですが、<図> 専門家会議で定点観測を行っていました。同じ場所で見ても濃度はまったく異なり、1ヶ月で環境基準値をクリアしたりしなかったりします。2地点で初期値が環境基準値以下になり、追加実験となりましたが、2年も経てば、汚染が移動しているのは当然とも言えます。詳細調査で見つかった場所だけでなく、全域で対策すべきと考えますが、いかがでしょうか?

(16) 地下水はつながっているわけです。技術会議では、区画ごとに遮断水壁で囲って対策になっていましたが、せめて専門家会議の提言した街区ごとの対策にするべきではないでしょうか?

(17) なぜできないのか?・・・次に移ります。汚染対策は、調査に基づいて行われています。まず、概況調査によって旧地盤面から50cm下位で試料採取により発見された汚染物質を不透水層まで1m間隔で深度調査しています。<図>今更ながら、もう一度説明しますと、10mメッシュ、10トントラック15台分の中で約コップ一杯分の中に見つかった汚染物質について深度調査しているのです。もちろん7物質のみですが。つまりその発見された場所の10cm横に他の物質があってももちろん見つからないし、深度方向に違う物質があってもそれは処理されないわけです。例えばベンゼンだけが発見された土壌を絞り込み調査で見たときにベンゼンしか調査されないので鉛などがあっても処理されます。これを健全土として扱ってよいのかご見解をお聞かせください。

(18) 汚染状況を確実に把握しているのですか。専門家会議の中でも見落としを心配する声がありましたね。ない。<図> 概況調査、すなわち詳細調査No1で見つかったものが横に50cmずれたものが次の絞り込み調査及び117条に基づく調査ですが、深度で50cm、距離にして70cmずれただけで同じ物質が見つかる確率が低くなります。
しかも、表層土の一部は、東京ガスの土壌汚染対策が実施され、掘削と盛土が施されており、土壌汚染が検出されない可能性があると、畑教授も指摘しています。 汚染状況を把握とおっしゃいますが、この数値を見て、それでも確実に把握できているというお考えなんですか?

(19) 土壌汚染対策法に則った処理はできても、きれいになったとは言えない。きれいにしようと思ったところをきれいにしたに過ぎないのではないでしょうか?専門家会議でも法律以上の対策をすると言ってませんでしたか。食の安全に関わる部分で、それはないのではないでしょうか?自主的にきれいにしなければ仕方ないですよね。つまり、汚染が残るということは認識されるのですね?<図>地下水は移動しているので、土壌汚染の場所を反映しているわけではありません。また地下水の汚染濃度が高いからといって、その近くの土壌汚染濃度が高いとは限りません。これでも汚染状況を把握しているのでしょうか?

(20) A.P.2mより下の土で汚染が検出された土壌を掘削・処理し、きれいな土壌を埋め戻すとされています。しかし、汚染が検出されなかった土壌は、そのまま埋め戻しになりますよね。専門家会議では、旧地盤面からA.P.+2mの範囲の土壌がすべて掘削、入れ返され、さらに2.5mの盛土がされるとなっていますが、技術会議では、計画地盤高A.P.6.5mまで埋め戻し・盛土を行うことになっていて、報告書にも書いてありますが、埋め戻し土には、汚染物質を処理し無害となった土壌、他の公共工事で発生する土砂、仮置きした既存の盛土、購入土を利用するとなっています。(その後、盛土分2.5mと入れ替え分2mの合計4.5m分がきれいな土で盛られる。)なぜ専門家会議の提言と異なることを行うのでしょうか?

(21) 一番初めの専門家会議では、当時の比留間市場長が「豊洲新市場予定地は、敷地前面にわたりまして、二重三重の対策を講じていくことにしております」とおっしゃっていました。これでは二重三重の対策どころか抜け穴です。先ほど説明させていただきましたように、汚染は局所的であり、土壌や地下水の詳細調査では見つからない汚染がある以上、処理済み土だとしても、A.P.2m以上の埋め戻しや盛土に使うべきではないと思います。見解をお願いします。

(22) 現在訴訟中のコアサンプルについて、7月29日に「東京都情報公開審査会」の答申で豊洲土地区画整理事業地内から採取したサンプルのうち4か所分を廃棄した日時と理由がわかる文書」の非開示決定に対する異議申し立てについては、開示すべきであるとされました。東京都の情報公開に対する姿勢について、議会以外の審査会委員の方々からも疑問が上がった形です。日本最大とも最高値とも言える数値をたたきだした豊洲の土壌汚染状況は、都民の不安の倉庫です。しかも、この数値は東京ガス株式会社が平成10年から14年に調査をし、環境確保条例と土壌汚染対策法に基づき、平成19年までに汚染対策を完了させた上に検出された値です。盛土の汚染もが発覚した今、なぜどうしてもこの土地でなければなのか、いったいいくらお金をかけて対策するのか・・・という思いになるのが一般的ではないでしょうか。都民の思い、市場関係者の意向をしっかりと把握し、今後に活かしていただきたいと最後に要望して終わります。