議会質問
都議会質問 意見陳述 文書質問 意見書可決築地市場の移転・再整備に関する特別委員会 議事録
都議会質問 2010年09月03日
豊洲新市場予定地土壌汚染
先日の小委員会の参考人招致では、さまざまな意見が出されました。新たな指摘もあり、課題もあり、しかし、現在地再整備案にせよ、豊洲移転案にせよ、共通していたのは、食の安全安心を確実にするということです。参考人の方々も口々に土壌汚染の心配について語っておられました。平成10年に都の依頼を受けて組合の投票がありましたが、豊洲地域で高濃度汚染が発覚してからも意向調査と呼べるものは行われていません。市場で働く皆さんがどのようにお考えなのか、きちんと聞きとるべきではないでしょうか。そこで、豊洲予定地の土壌汚染について確認をいたします。
① これまで詳細調査から始まり、豊洲の土壌および地下水の汚染調査にかかった費用、及び今年に入ってから6月までの実験にかかった費用をおしえてください。
② 絞り込み調査の報告まで受けて、技術会議が報告書を出したのが平成21年2月です。そのときに586億円で20ヵ月と言っているのに、どうしてその前に行っていた調査がこの費用に含まれるのでしょうか?
③ 次に、盛土についてです。土壌汚染対策費は586億円が決定されたときには、盛土は健全土として認識されていました。汚染が発覚し、原因が特定できないことから、今後100立方メートル毎に25物質の調査を行うということが技術会議で決定されました。その調査にかかる費用をおしえてください。これは、またその土壌で汚染対策が適応するかどうかという実験も行うのでしょうか?
④ 適用実験報告書には、「汚染が見つかった場合の対策は、汚染土壌は処理し、きれいな土壌を盛ること」とありますが、盛土の汚染対策方法についても費用や方法は不明ということでしょうか?
⑤ ヒ素やフッ素、ホウ素などは、環境基準以下にするのが大変だと聞いていますので、対策も変わってくる可能性があると思っています。今回の盛土の汚染は、土の入れ替えなのか、汚染処理をして埋め戻しなのかはっきりとはわかりませんが、対象の土量はどれくらいになるのでしょうか?都市整備局によると、5街区7街区には土を搬入していますが、6街区には搬入していないとのことでした。しかしながら、報告では盛土の汚染として、6街区にも5-6か所含まれています。道路の工事の際の盛土などが移動して6街区に入ったと聞いていますが、ここも対象になるということでよろしいしょうか?
⑥ 60万立方メートル程度の土壌が処理されるのは大きいことですね。詳細設計ができない段階での盛土の汚染調査費用や対策費用などはわからないということでしたが、先ほど今まで行った汚染調査費用はおおよそ10億5千万円ということで伺いました。もちろん盛土の調査範囲などを考えると費用は異なると思いますが、従来の7物質とは異なり25物質が対象になるという要素もあります。豊洲の予定地でも不確定な部分が多く、盛土の部分では、費用や期間は伸びる可能性があるということだと考えます。
⑦ 豊洲では、建物建設地、またはそれ以外でも市場施設完成後に地下水位・水質のモニタリング施設設置(井戸・ポンプ他)をすることになっています。設置費用については、13億円とあります。先日の質問で触れさせていただきましたが、地下水実験で揚水量を測っていないとのことでしたので、どれくらい能力のポンプがいくつ必要なのか、浄水の機械のタンクはどれくらいの大きさが必要なのかなどは、はっきりしないと思うのですが、この費用はさらに高くなることも考えられますか?
集中豪雨などで地下水が一気に上がるというケースにも備えられるのですか?
⑧ 技術会議資料によると原則月一回の水位観測のこの管理は目安として10年間とあります。東京ガスの負担か東京都の負担かはっきりしていないとのことですが、この地下水管理の費用、つまりランニングコストはどのくらいかかるのでしょうか?
⑨ 地下水管理システムは、観測井戸に設置した水圧式水位計により地下水位を計測し、そのデータが各街区の端末装置を経由し、中央監視室まで無線及び有線方式で転送する、また地下水位を自動制御するというもので、ランニングコストはかなりかかるのではないかと予測いたします。10年間というのも機械の耐久年数から割り出された期間ですので、さらに管理が長引く可能性があるのではないかと考えます。次の質問に移ります。以前マスコミ報道もありましたが、平成18年に行われた地盤解析調査の資料の中でも地盤沈下の懸念がされています。地盤沈下対策は、行うのでしょうか?
⑩ 6街区で言えば、最大60cmの沈下を認識しているはずです。地盤沈下対策の方法はどのようなものでしょうか?
⑪ <図> そもそも盛土は、漬物石のようなものです。豊洲の土地では、1年間放置し、その後の沈下量10cmを目安に設計され、盛土の量が決められています。地盤調査データでは、土地区画整理事業によりA.P.6.5mまでの盛土をし、土地の引き渡しまでの1年間を放置期間として、建設工事に入ることになっています。有楽町層は粘土のようなもので水分を排出するのに時間がかかり、また沈下が大きいとされています。そのため、沈下量を判断するために一定の放置期間を設けます。それが1年間です。特に6街区においては、最も軟弱層が厚く分布していて、地盤解析調査の検討結果によると、1年間で最大42.2cmの沈下で、最終沈下までの残りの沈下量が16.7cmと、設計の10cm以下という基準を大きく上回っています。その結果、6街区では、放置期間を2年間とする、盛土をさらに厚くして圧力を加えるかのいずれかの方法が提示されています。土壌汚染対策では、A.P.+2m~4mをきれいな土に入れ替えるとしています。5街区7街区では、今まで盛土して時間を置いてあった部分も(平成14年~18年)、仮置きして、さらにその深くの厚さ2m分を入れ替えするのですが、この入れ替え分の埋め戻しをして、盛土をしてから、一定期間置くことになるのでしょうか?
⑫ そもそもこれは、室内実験による解析データなので、実験通りにすべていくとは限りません。例えば、葛西市場では、管理棟と卸売棟との間などに段差ができて地盤沈下対策をしております。長い年月をかけて地盤沈下は進みます。予測になかった地盤沈下を起こしている関西空港の例もあります。豊洲は、軟弱な有楽町層がかなり厚く、6,7街区では、おおむね-5m~-30m(層厚25m)があるので、その部分の地盤沈下がかなり深刻です。長期沈下の対策が必要になり、さらに費用がかかる可能性があるということを申し上げます。<図> 先ほど、地下水管理のところでおっしゃっていた20cmの砕石層ですが、技術会議ではA.P.1.8m~2mに施工することになっています。地下水位もその下で管理するとされています。6街区で見ると、地盤沈下による最終沈下量の最大値は58.9cmです。約60cmですから砕石層はA.P.1.2m~1.4mと下がります。海水面は干潮時A.P.-0mで、満潮時ではA.P.2mを超えます。従って、地下水位をA.P.1.2m以下に管理するのは不可能と考えます。砕石層が常に地下水位以下であれば、砕石層の意味がなくなるので、地下水位管理を根本から考え直さなければならないことになります。費用や対策期間には、まだ検討しなければならないことがたくさんあると意見を申し上げます。
⑬ 先日の土壌汚染対策の実験で「無害化が実証された」とのことですが、安全宣言とは異なるのですか?何をもって、市場は安全だと考えるのでしょうか?
⑭ 安全な状態で開場することになっていますが、東京都が考える開場の要件は何ですか?
⑮ 地下水対策後のモニタリング期間の2年間を待たずして、本体工事の建設に入るわけですが、もしモニタリング期間の間に汚染が発覚すれば、すぐに対策をしたとしても、さらにそこから2年間のモニタリングが必要になります。つまり、期間はもっとのびてしまいます。土壌汚染対策法の要措置区域のまま開場するということはありえるのでしょうか?
⑯ A.P.2m以下の土壌汚染対策は、概況調査で汚染が発覚したメッシュ部分しか対象になりません。つまり、最初に汚染が発覚しなかったところは、A.P.2m以下で取り除く部分はなく、そのまま残ってしまいます。先日の答弁では、地下水調査を同時に行っているから汚染は見逃さないとのことでしたが、汚染は局所的であり、少しずれれば見つからないことと地下水に必ず汚染が染み出しているわけではない、また地下水が移動することから、汚染は残ってしまいます。汚染対策の対象は全体で約200万立米【40万平米×層厚平均約5m】の内の20万立米しかありませんので、全体の1割程度です。汚染が残る可能性を考えれば、地下水の濃度が対策後に完全に下がるという保証は無く、モニタリングの2年間を待たずに建設工事に入ることは、リスクが高いとしか言いようがありません。さらに建設期間に汚染濃度が上がれば、要措置区域、つまり汚染区域のまま、市場が営業するということになりますが、市場で働く方々の理解は得られるとお考えなのでしょうか?
⑰ 市場の関係者は皆さん土壌汚染の心配をしています。土壌汚染は、豊洲予定地にとって最大の課題なのです。東京ガスの汚染対策の後、安全だとされていた土地は、その後高濃度汚染が発覚し、何が安全なのかわからなくなってしまいました。今までにも何度も議論を重ねてきましたが、操業由来として調査可能性のある項目数不足や、深度方向への調査不足など調査全般の不足とともに、対策についても十分とは言えません。盛土の再汚染に見られるように地下水の動きの影響があるにもかかわらず、対策を全域で行わず、汚染が発見された区画でしか行わないという問題もあります。土壌汚染対策法による調査では汚染がすべて把握できないにもかかわらず、一定の項目しか処理していない処理済み土を埋め戻しに使う問題もあります。また、東京都の姿勢、対応についての疑問もあります。ベンゾ(a)ピレンや透水係数の訂正の問題、専門家会議や技術会議を経て出したはずの対策では、汚染が発覚した盛土を健全土として埋め戻すとされていたことや、中間報告で初期値が示されなかった問題、実験を行うに際して、技術会議の提案通りの実験を行わず、仕様書の内容に沿わずに実施・終了したことなど、今までの経過を見ていると、今後の対策において懐疑的にならざるを得ません。私たち都民が考える安全と、東京都が考える安全が合致するようご努力をお願いしたいと申し上げ、質問を終わります。