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築地市場の移転・再整備に関する特別委員会

2009年12月18日

豊洲新市場予定地の土壌汚染

(1) 土壌汚染地というのはほかにもあると思いますが、殊、食べ物を扱う市場を整備するに当たって、この土地を選定することに問題はないのか、対策は十分なのか、また関係者との話し合いは十分なのかという観点から考えていきたいと思います。 都は、昨年八月から技術会議を開催し、土壌汚染対策を具体化するために検討を重ねてきました。新技術、新工法の公募においては、実効性、施工性のほか、環境への防止対策、そして経済的にすぐれていることと、短い期間での施工が可能であることが掲げられています。土壌汚染対策においては、食品を扱う市場としての安全・安心ということを第一に考えていただきたいという思いです。 最終的な工法を選定するに当たり、土壌汚染対策費を五百八十六億円に、工期を二十カ月にしました。技術会議の報告書によると、一般的な技術、工法による試算では九百七十三億円、工期二十二カ月となっているものが縮減されたことになっています。どういったところを節約し、また技術によって期間を短縮できたのでしょうか。五百八十六億円になるとのことで、どういう見積もりをして導き出したのでしょうか。

(2) 最先端の技術により、微生物処理、洗浄処理、加熱処理など、汚染状況に応じてきめ細かく分類していると聞いています。どのような発注形態になっているのでしょうか。

(3) もちろんコストは低いにこしたことはないんですが、殊、安全かどうかとなると、調査、対策で省略できるものとできないものがありますので、不安を感じているところでございます。技術会議の報告書では、ブラウンフィールド問題についての記載があったり、現在地再整備との比較等でコストや工期を意識し過ぎてしまうことに懸念をするんですが、この処理によって完全に土壌汚染というのは処理できるものなのでしょうか。

(4) 技術会議でいろんな工法を公募しているわけなんですけれども、その中で最高レベルの技術が選ばれたのかなというふうに思っていたんですが、お話を聞いてみると、入札参加できるようなもの、一般的な技術なのかちょっと疑いたくもなるんです。例えば技術会議の資料の中に、新技術、新工法を公募した個別技術の総合評価結果というものがあるんですが、例えばSの判定がされているような技術はSの工法が用いられるというようなことになるのでしょうか。このあたりのレベルの話についてお聞かせください。

(5) 例えば、実際の土壌を用いた土壌汚染除去を目的とするようなトリータビリティーテストと呼ばれるものがありますが、こういったものは行うのでしょうか。

(6) 豊洲の土壌を使ってテストをしていくという、このトリータビリティーテストという形をぜひ検討していただきたいと思っています。そしてもう一つ、十二月十六日の朝日新聞の記事で、石原都知事が、豊洲予定地において実験を部分的にやり、できると思ったら土地を取得したらいい、手を尽くしてもきれいにならないなら買う必要はないと発言をしています。きのうの「日刊食料」にも掲載されていました。用地購入に先立っての実験を行うような示唆があるんですが、これは一体どういうことなのでしょうか。内容を説明してください。

(7) たとえば、土壌汚染対策の開始がおくれるということは考えていらっしゃるのでしょうか。

(8) 昨日の「日刊食料」によりますと、長くても数カ月程度で結果は得られ、用地購入に先立って実験を行う場合でも開場スケジュールへの影響はないとしているというふうに書かれているんです。その場合、数カ月かかるということもあるようなんですけれども、ぜひこの記事も見ながら確認をしていただきたいと思います。次に処理土量の削減、再利用の話です。処理土壌のリサイクルの促進では、汚染物質を除去した約十九万トンの土壌については、安全性を確認した上で豊洲新市場予定地の埋め戻し土として再利用し、埋め戻しに適さない土壌約七万トンについては最終的にセメントの原材料として活用されるなど、リサイクルに資するような搬出先を確保していくとされています。どのように計算されて、この数字が出てきたのでしょうか。

(9) 技術会議の報告書では、汚染土壌と汚染されていない土壌を峻別することで処理が必要な土量を縮減する、また健全土については、都内の他地域等の埋立用材として活用するとなっています。さらに、豊洲新市場整備方針では、埋め立ての基準を満たす土壌については新海面処分場で活用というふうになっているわけです。今までの調査で汚染されていないと判断されるものが本当に汚染されていないのか、確実に分けられるのでしょうか。今までの調査に疑問を感じるところですが、見解をお聞かせください。

(10) は、汚染されていない土壌が本当に汚染されていないのかどうか確認できるのかという質問をさせていただきました。もう皆さんご案内のことと思いますが、ちょっと土壌について説明をさせていただきます。(図)ここの土壌、ガス工場操業時の線なんですけれども、ここのところで詳細調査というものを行います。ここから約五十センチのところで、中心点で一カ所の土壌調査、そして深さ四メートルのところで地下水を一カ所はかるという形になっています。この二メートルの部分は全部改良する。そして、ここの部分に関してはまた、土壌汚染がされていないところはそのままにして、ほかのところを改良するという形になっています。汚染は地下水によって移動するというふうに私も考えております。この調査では汚染だまりを見逃してしまうということも、専門家会議で座長発言がありました。十メートルメッシュの中間点、先ほどもおっしゃっておりましたけれども、その中間点でのサンプル採取、百平米の中の十センチ程度なんですが、この結果をもって汚染物質濃度が均質であるとするのは、非常に危険なことだというふうに思っています。こちらの図を見てください。ちょっと見えにくいかもしれません。これが十メートルメッシュになっています。十メートルメッシュの中の真ん中で調査をして、ベンゼンがオーケーだとか、NGだとか、シアンがNGだとか出ているんですが、例えば五メートルずれただけでも出てこないということになってしまいます。ですので、この詳細調査で環境基準の汚染が出てこなかったところに関して、本当に汚染がないのかどうかということを見きわめるのは非常に難しいのかなというふうに思います。もし汚染されていない健全土とされて埋め立てに利用されて、それからどうなるんだろうというふうに考えてしまうわけでございます。何かこの点について見解がありますか?

(11) 調査物質は、東京ガスの工場操業に由来する七物質、ベンゼン、シアン化合物、砒素、鉛、水銀、六価クロム、カドミウムということになっているんですけれども、土壌汚染対策法の特定有害物質に合わせて調査をすべきではないでしょうか。

(12) 操業に由来する物質というお話がございました。実際に東京ガスが立川や八王子、田町用地などで行った調査は二十二から二十六項目。弗素やセレン、トリクロロエチレンなど、ほかの地域で基準を超えて汚染が検出された物質が幾つもあります。同様の工場が操業されていたのですから、こういう物質が発覚することは考えられます。私は当然にこういった調査もするべきだと考えますが、いかがでしょうか。

(13) 前にも何度かいろんな場面で質問が出ていましたが、これは本当に不透水層というふうにして対策をしてよいものなのかと考えております。都が不透水層としている有楽町層の下に砂質系シルト、粘性の土ですが、ありますけれども、ほとんどの東京都が出している模式図では、この層の存在が書かれていません。「疑問解消BOOK」でも五街区のみが書かれているんですけれども、六、七街区は不透水層が非常に薄いという状況になっています。報道によると、汚染は有楽町層の直下の層で拡散しているというふうに考えられ、非常に懸念されるところでございます。ちょっと見えないかもしれないんですけれども、これはAB断面なんですが、非常に薄いところがございます。ピンクのところがYc層、有楽町層でございます。都は、不透水層の厚さを常に二メートルから二十メートルというふうにしていますが、私は厚さ一メートル程度のところもあるというふうに思っています。(「思いじゃだめだよ、調べなさいよ」と呼ぶ者あり)ありますよ。で、このナンバー1のボーリングの近く、ここにあるんですけれども、こういったところに、〇・九メートルというふうになっています。これは平成十六年の水道局のボーリング調査におけるところです。送水管のナンバー11のところです。このところの厚さについて、どのぐらいの厚さだと認識されていますでしょうか。

(14) 我が党の増子議員が昨年の経済・港湾委員会で質問しているんですけれども、不透水層は土壌汚染対策法では、厚さ五メートル以上で透水係数が毎秒一〇〇ナノメートル以下の地層、または同等以上の遮水効果のある地層というふうに都の方でも回答をしています。都は、土質試験の結果、透水係数は毎秒一・一二ナノメートルから一〇・八ナノメートルの範囲で、平均値は毎秒三・八三ナノメートルであり、一〇〇ナノメートルと比較して遮水性が二十六倍で、算出すると、必要な厚さは十九センチメートルだといっています。
単純に透水係数が何分の一だから厚さ何センチでもいいというものではなく、個別に判定しなくてはならないという回答を、私、環境省から聞いてまいりました。例えば、透水係数が一ナノメートルなら厚さ五センチでいいのかという話になってしまいます。
そもそもこの有楽町層の厚さは均一ではなくて、厚いところもあれば薄いところもあり、砂が過半を占めているところもあれば粘質が高いところもあるというふうに思います。平均値で透水係数を出し、判断するのはおかしいと思いますし、平均で小さい値ならよいというものではないと思います。この件に関してご意見があれば、お願いします。

(15) 透水係数だけではなく、あらゆる側面からこの不透水層というものを判断しなければいけないのではないかという投げかけをさせていただきました。昨年十一月十四日に、豊洲新市場予定地における土壌汚染対策等に関する専門家会議報告書案に対する意見募集の実施結果についての一部訂正のお知らせが発表されました。有楽町層の透水係数についてなんですけれども、訂正前は三・五二掛ける一〇のマイナス七乗センチメートル・パー・セカンド、訂正後は三・八三掛ける一〇のマイナス七乗センチメートル・パー・セカンドというものです。一番安全だった数字が一番危険な側に訂正されたわけですが、なぜこのような間違いが起こったのでしょうか。

(16) 専門家によると、こういったことは、初歩的な間違いだと聞きます。こういったことが多々起こるようだと、今までのデータの信憑性が疑われるところなんですが、例えばベンゾピレンの発覚についてもそうです。現在係争中なんですが、こういったことがあると、やっぱりコアサンプルだって保存して再調査しなければいけないのではないかというふうに思うわけです。九月の経済・港湾委員会で増子議員の質問に、コアサンプルは情報公開の対象にならないというふうにおっしゃっていたんですが、都民の不安や疑念にどうやって対応するつもりなのでしょうか。

(17) 都が行った8本のボーリング調査から、含水比が液性限界を超えていて非常にやわらかい土壌になっているということがわかるデータがございます。例えば六街区のボーリング1なんですけれども、液性限界が五七・八に対して、含水比がそれを超えて五九・五というところです。ほとんどのところでいえるんですが、例えば七街区のボーリング6では、液性限界が六二・九に対して含水比が八〇・六というふうになっています。こういったところはもう液状化すると判定される、または、液状化すると判定するか、繰り返し三軸試験により判定するというような結果になるわけです。不透水層といいながらも、こういった形で液状化判定が出るんですけれども、これでも不透水層というふうに呼べるのでしょうか。

 含水比が高いということは、本当に水を多く含んでいるということなので、つまり、水を含めるようなかたさだということなんですね。ぜひ考えていただきたいというふうに思います。

 そもそもこのボーリングについてなんですが、四十ヘクタールという広大な土地に八本しかボーリングをしていません。環境局に問い合わせましたら、例えば処分場の場合だと、地盤や水圧を調べるためには、日の出町の二ッ塚の場合は五十九ヘクタールで四十七本、大島の場合で五・四ヘクタールで八本のボーリングを行っています。ですので、私は、こういう広い敷地内では、もっとボーリングを行うことによって透水係数が変わる場所もあるのではないかというふうに考えています。なぜこれだけ不透水層に執着した質問をさせていただいているのかというと、東京都は、この不透水層と呼ばれています有楽町層を基準に調査をし、そしてこの対策を立てているわけです。この対策の基準になる不透水層なので、ここは慎重に判断をしていただきたいので、ぜひ再考していただきたいというふうに主張させていただきます。

(18) 液状化について伺わせていただきます。先ほど申し上げた都のボーリング調査では、平成十八年の地盤解析データの液状化の予測、判定から、八本中四本で有楽町層の直下の砂層で液状化判定が出ています。ちょっと見えにくいんですが、こういった二つの表があります。ここの黄色い部分が有楽町層で、ここが液状化判定の矢印になります。この有楽町層を越えて液状化判定の深度があらわれているところが四本あるわけでございます。
N値などによるものと、圧縮テストからの判定の二種類があるんですけれども、液状化想定範囲を示した矢印の深度はほぼ同じで、不透水層の下の砂の層まで達しています。五街区のナンバー7におきましては、江戸川層の内部の砂層にまで液状化判定が出ているということになっています。建築学会が一九八八年に、建築基礎構造設計指針で、液状化判定の対象とすべき土層については、地表面から二十メートル程度以浅の土層というふうに記されています。その他にもいろいろな項目があるんですけれども、こういったこともきちんと考えるべきではないかというふうに思っています。また、地質調査データの地盤に関する考察におきましても、盛り土、埋め土、Hs、Hc層、沖積層、有楽町層のYs、埋没台地上面を構成する緩い洪積砂層Esというのが懸念されているところでございます。つまり不透水層の下、内部に汚染が沈む、そして液状化対策が必要だということを申し上げています。もしこれが、例えば地震が起こったとき、海抜二メートル以下に残っている汚染が泥水とともに噴き出す可能性が極めて高いと考えます。液状化対策について見解をお聞かせください。

 どんなに上部に対策をしても、結局この不透水層というものをしっかりと把握していない、その下の液状化対策もしない、汚染対策もわからないでは、もう不安でたまらないとしかいいようがありません。ぜひこういったことをしっかりと対策していただきたい。今度で結構なんですけれども、FL値、PL値といったようなものも示していただきたいと要望させていただきます。

(19) 先ほど都知事の発言のお話をさせていただきましたが、新市場の開場は平成二十六年十二月というふうになっています。その期日に変更はないのでしょうか。今後の予定はどのように進められていくのか教えてください。

(20) 環境影響評価や都市計画決定の手続では、説明や縦覧というような期間が設けられていますので、しっかりと声を聞いていただきたいというふうに思っています。また、先ほど都知事の発言の方にもありましたけれども、こういった実施テストというのがどれくらい時間がかかるのかというものも含めて、見直しもしていくことが必要なのかなというふうに思います。二十四年に工事が完了、二十六年十二月に開場ということでございます。来年四月に施行される改正土壌汚染対策法では、地下水の汚染経過を観測する二年間のモニタリング期間が必要とされています。二十カ月の土壌汚染対策の後、二年間をモニタリングに使うということで、十二月の開場に間に合わないようにも思うのですが、どのようにお考えでしょうか。

(21) 田の上委員 モニタリングの期間は、もちろん区域指定解除ということもありますが、安全かどうかをはかるためのものでございます。それが確認されないまま本体工事に着手するということは、通常では考えられません。二年間のモニタリング期間を経て、もし再度汚染が出たら、その建物はどうなってしまうのでしょうか。また、建物を建てても開場できないということになってしまうんじゃないかと思いますが、むだな税金の投入にならないように慎重な対応をするべきだと思います。

(22) モニタリングの期間は、もちろん区域指定解除ということもありますが、安全かどうかをはかるためのものでございます。それが確認されないまま本体工事に着手するということは、通常では考えられません。っています。豊洲移転を前提としない中、意見交換の必要性を述べているものだと思いますが、リスクコミュニケーションについて今まで十分にとられたかどうか、ご意見を伺います。

(23) これからも、リスクコミュニケーションという観点も含めて、ぜひ積極的な話し合いをしていただきたいというふうに思っています。都は今まで、いろんな答弁の中で、顧客ニーズという言葉を使っているときがあります。顧客とはだれを指しているのでしょうか。

 顧客というのは、買参だけではなくて、ほかのいろんな意味も考えていかなければいけないと思います。市場においていろんな関係者の声を聞く、そういったことをしていただきたい。そして、これからの市場をどうやってつくっていくのか考えていく上において、顧客ということだけではなく、さらに幅広く考えていただきたいと思います。安全・安心の確証がなければ豊洲への移転は考えられない、そんなふうに思っております。四十ヘクタールの広さが確保できるのは豊洲しかないと東京都は繰り返していました。でも、原点に返って、何が一番大切なのかを考えていただきたいというふうに思います。
国会の環境委員会では、当時の田中康夫参議院議員が暗黙知という言葉を使っています。法令にのっとって数字だけ満たせばいいということではなく、都民の理解を得るために、現状の的確な認識や迅速な決断といった明確な責任をどうすれば果たせるのか、考えていただきたいと要望いたします。