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第4回定例会質問 議事録

2009年12月08日

東京都の臨時職員

昨今では、地方自治体の職員の半数ほどが非正規職員とも言われ、都でも大きな割合を占めるようになりました。東京都の職員数は、4月1日現在知事部局だけで27,431名、任期付職員や再任用などを含めると28,771名です。しかしながら、この中には、派遣職員、非常勤職員および臨時職員は含まれず、条例定数に入らない労働者は、6,991名ほどです。昨年総務省が「臨時・非常勤に関する調査」を行いましたが、そのときの集計では、東京都の臨時職員の数はゼロでした。東京都でも臨時職員は雇用されていますが、「6ヵ月以上の任用に限る」ためカウントされていないのでしょう。臨時職員は、地方公務員法により6ヵ月の期間で更新1回、最長1年の任用となっていますが、都の場合は短く、原則2ヶ月以内、最長6ヵ月です。内容は臨時的というより恒常的なものが多いとも聞きます。ケースによって異なりますが、2ヵ月で終了し、また新たに2ヵ月、またさらに2ヵ月。そうして6ヶ月働くようになると、一定程度間を空け、また新たに雇用されたりします。同一の職に再度任用されたのではなく、あくまでも新たな職に任用という解釈であり、法律違反ではありません。新規雇用ですから、その都度履歴書を提出します。2ヵ月ごとで6ヵ月だと3回提出。通算で複数年働いている人は、3年で18回、5年であれば30回も同じ東京都に履歴書を提出することになってしまいます。都の臨時職員の社会保険は、健康保険法、厚生年金法、雇用保険法の定めるところとなっていますが、多くが1-2ヵ月で新規任用を繰り返している中、適用対象の方はどの程度いるのでしょうか。総務省の調査でカウントされない臨時職員は、個人で追った場合にどのくらいの期間でどのような仕事についているのか、更新回数や通算年数はどれくらいなのか、実態を把握すべきと考えます。
臨時的任用は地方公務員法22条により、1年以内に廃止が予定される臨時の職、または緊急の職に人を任用できるとされています。東京都の場合は6ヵ月ですが、臨時職員個人が期間内の雇用ならよいという意味ではありません。1年を超えて入れ替わりで同じ「職」に誰かが任用されているということはないのでしょうか?職という視点での臨時性の調査も含めて、実態調査を行っていただきたいと考えますが、いかがでしょうか?
非常勤職員や臨時職員は、労働基準法が適用されます。例えば産前産後休業、育児時間、生理休暇などです。しかし、実際に適用している自治体は多くありません。なかなか子どもが授からなかった臨時職員の女性がようやく妊娠し、流産をしたという話を聞きました。正規職員の場合、妊婦通勤時間は交通の混雑を避けるため60分以内の休暇が認められています。本来であれば、臨時的任用職員は、特定の事項を除き、身分取扱いについて、原則常勤職員と同じ規定が適用されなくてはなりません。
男女雇用機会均等法では、母子保健法による保健指導又は健康診査を受けるために必要な時間を確保することや、勤務時間の変更、勤務の軽減等必要な措置を講じなければならないとされています。また、地方公務員法では、職員の勤務時間その他職員の給与以外の勤務条件について、国や他の地方公共団体との間に権衡(けんこう)を失(しっ)しないように考慮が払われなければならないという原則があります。他の自治体の例を見ながら、取扱いを検討してもよいのではないでしょうか。
現在は「臨時職員取扱要綱」になっていますが、勤務時間や休暇、保健指導に関わる項目など勤務条件についても周知が図れるように、条例もしくは規則で定めるなど検討するべきと考えますが、いかがでしょうか。また、法的、社会的要請を踏まえ、臨時職員のあり方について東京都の所見を伺います。併せて、改善する計画があればお聞かせください。

東京都は雇用支援プログラムに力を入れ、「10年後の東京」の目標のひとつに「意欲ある誰もがチャレンジできる社会を創出する」とあります。施策では、「意欲ある人材の就業を促進し東京の活力を向上」とし、「正規雇用に向けた就業支援を推進」しています。
昨年から施行されている「改正パートタイム労働法」では、通常の労働者との均衡のとれた待遇の確保が示され、能力を発揮できる雇用環境について事業主が講ずべき措置等が定められました。公務員は、適用除外とされていますが、総務省の研究会報告書では、「民間労働法制の動向も念頭におくことが必要と考えられる」と指摘しています。
「意欲ある誰もがチャレンジできる社会を創出する」ために、東京都も臨時職員の労働状況をしっかりと認識し、希望や意欲、能力や適正によって、非常勤職員等への移行などを考えていくべきではないでしょうか。
東京都は職員向けのサイトを通して臨時職員の募集をしていると聞きます。経験のある人に任される仕組みならば、なおさら必要な職に必要な人材を就かせる視点が肝要と考えます。

人は勤労の意欲を持ち、継続することや向上することによって仕事の効率性や生産性を高めていきます。現代は多様なライフスタイルや働き方があり、それを求める人たちもいますが、一方、昨今の雇用情勢の悪化で非正規雇用に甘んじている人たちもたくさんいます。私たち民主党はコンクリートからヒトへという言葉を掲げ、大きな政策転換を目指しています。民間がモデルとし、追随すべき東京都で、「安く活用」から「成長的人材活用」へとシフトする姿勢を打ち出していかれれば素晴らしいと考えます。今後の東京都の行政を担う人材活用について知事のお考えをお聞かせください。

 

都県橋と都市計画交付金

江戸川をはさんで市川市に通じる補助286号線に都県橋が架けられようとしています。ゼロメートル地帯が7割を占める江戸川区は、水害発生時に対岸に非難するための橋が必要とし、さらに災害時の帰宅困難者のために、篠崎公園と千葉県側の大洲公園、2つの防災拠点を結ぶことを重要としています。現時点で東京都や千葉県、市川市が進める方向にないことから、もともと計画されていた15mの幅員を半分の7.5mに分割して、江戸川区施工の事業として進めるというものです。延長430m、幅員7.5m、緊急車両は通行できるとはいえ基本的に人道橋であり、非常時のための橋という位置付けです。残りの半分はいつか千葉県側がつくるという想定の細長い橋は、東京都が事業主体にならなくても進められていくわけですが、この事業について都はどのように関わっているのでしょうか。

そこで、こうした例を踏まえて、都市計画交付金について質問します。
現在の23区の都市計画事業には、特別区都市計画交付金制度が運用されています。都施工の都市計画事業は一般財源が使われますが、区施行の場合は、国庫補助等の特別財源、残りの地方負担額について都市計画交付金と地方債収入相当額としての特別区財政調整交付金が支給され、全額確保される仕組みとなっています。区の事業であっても財政措置がしやすく、自治体にとっては使いやすい制度です。しかし、都市計画交付金をめぐっては、各区が競って申請している状況も見受けられます。
特別区は、本来基礎自治体が行う都市計画事業の財源である都市計画税が都税とされている中で、特別区が行う都市計画事業の財源を確保する観点から設けられている交付金であるとし、実績に見合う配分にするべきだと主張しています。予算は、毎年増額され、20年度は185億円、21年度は190億円となっています。実際はどの程度が適当な金額なのでしょうか。

都市計画交付金は、総事業費の国庫負担金等を除いた概ね25%となっていますが、実際は申請が少なければその交付割合は35%まで増える仕組みで、毎年使い切りの予算となっています。平成元年以来予算執行率は、15年度、16年度を除いてすべて100%。昭和63年までは一律であった交付率が、平成元年から対象事業の伸びが見込まれるという理由で、前後10%の弾力的運用をすることになりました。特別区からの申請事業が多い場合には、この運用で新たな予算措置をしなくても済みますが、事業数が少ない場合は、増額になります。
こうした中、都市計画交付金制度は要綱で定められ、公布額の算定方法は、特別区都市計画交付金算定要領で決められています。さまざまな課題を踏まえ、透明性を図る努力が必要と考えますが、ご所見を伺います。

地方分権、地域主権と言われる中、地域のことは地域で決めるのが当たり前でしょう。しかし、現在の都市計画交付金は、都税として課税・徴収された都市計画税を財源とし、また、目的税になっているため、一括交付したとしても都市計画事業にしか使えず、新規事業を誘発する可能性もあります。今後の制度はどうあるべきでしょうか。
10年前、20年前と違って、公共事業そのものが減少傾向にある現代において、すでに都市整備が充実している区もあります。都市計画交付金制度に対する認識について、東京都の所見を伺います。

 

総合評価方式の入札契約制度

東京都は「入札契約制度改革研究会」を立ち上げ、10月に報告書を発表するに至りました。一般競争入札の適用拡大とともに総合評価方式の適用拡大が示されていることに期待をするものです。公共工事の品質確保の促進に関する法律の制定から、入札の判断基準は価格のみではなくなり、入札を政策手段にする、また価格基準から社会的価値基準へ転換する時代になりました。
現在は、公共工事の約5%が総合評価方式の対象実施割合だと聞きます。適用工事を全工事の2割程度にするという目標がありますが、どういった工事が対象となり、目指すところは何でしょうか?
価格だけを重視するのではなく品質を重視するために技術力評価型に力点が置かれていることも理解しますが、「政策目的実現への寄与」については、来年度中に実施となっているものの具体的に見えてきません。入札制度は、政策実現において企業への働きかけが一番簡単な方法であり、かつ今までなかなか進まなかったことが実現に向けて大きく寄与する方法です。評価基準は、環境配慮、雇用を含む福祉、育児介護を含む男女共同参画社会への貢献、公正労働などが大きく挙げられ、点数配分も重要です。法定雇用率が未達成の企業も多い中、なかなか進まない障がい者の雇用を促す、ひとり親家庭の貧困率が54.3%、との報道もありましたが、母子家庭の母や生活保護受給者など就職困難者の採用で自立支援を促すこともできます。また、野田市の公契約条例の例もありますが、評価項目に下請・孫受けなど労働者の状況を設定することも可能です。社会的純便益の最大化を目標とした総合評価方式の導入について都の見解を伺います。
アメリカでは、1960年代に人種差別禁止を、70年代に女性差別禁止を、公共工事や請負についてルール化し、差別是正の計画立案を義務づけ、規制・監督がされました。オバマ大統領が誕生した背景とも言えます。
公共工事だけでなく、業務委託や請負などにもその特性に応じた政策実現を目的とする総合評価方式を導入するべきだと考えますが、いかがでしょうか?契約金額や実績に差がつきにくい分野は、政策誘導により評価がしやすくなり、さらに実現に向けても効果が高いと考えますが、ご所見をお聞かせください。
以上で質問を終わります。