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公営企業委員会(水道局) 議事録

2010年03月18日

水需要について

① 今回の東京水道経営プラン2010には、人口増加と経済成長によって水需要が増加するとあります。人口は、全国的には減少傾向にありますが、東京では社会増により増加を続けていることを挙げています。平成8年から平成20年までの13年間、年平均でプラス0.7%と東京の人口は確かに増加を続けています。政府が昨年12月に発表した「新成長戦略」に示された目標経済成長率、すなわち平成32年度までの目標名目3%、実質2%を基本にして、今後も都内の経済成長は続くとしています。ちなみに、この実質経済成長率2%は、現行の水需要予測時の設定と同じ数字になっています。その上で、一日最大配水量が600万立方メートルは同様の考え方で算出したとしています。しかしながら、一日最大配水量は、平成16年の521万9千立方メートルから明らかに毎年減少傾向にあります。この減少の要因を明らかにすることも含め、直近のデータを使って将来の水需要予測を改めて見直すべきと考えますが、ご所見を伺います。

② 現行の水需要の予測方法については、統計学的、工学的に妥当な方法ですが、過去にも政府が発表している成長戦略的なものはいくつもあり、今回だけ唐突に出てきた印象です。社会経済動向だけ最新のものを使い、平成32年までの成長戦略である一方、現行予測で用いられるデータは、平成15年に10年という長期的な予測で平成25年を目途につくられています。主な説明変数である給水人口、個人所得や平均世帯人員、使用水量などについては、平成12年度までの15年間のデータが用いられています。これに対して、直近のデータとしては、人口、一日平均配水量、有収率、負荷率はそれぞれ平成20年度末、平均世帯人員については、平成17年の国勢調査結果など、新たなデータの蓄積があるわけです。また、例えば人口については、現行予測では平成22年度にピークに達し、以後減少に転じると見込まれていますが、現在では、平成27年度でピークに達し、その後減少に転じる予測がなされているといった状況の変化もあります。先ほどは、新たな水需要予測について、水道局としては「見直す必要はない」という見解のようでその理由についてご答弁されましたが、今度は「必要ない」理由ではなく、「やらない」理由、新しい水需要予測を出さない理由について伺います。

③ 水道事業の経営の根幹に関わる重要な基礎指標である水需要予測を何年も前の古いデータに基づいたまま放置しておくことは、公営企業の姿勢としてどうなのかと考えますが、本当にこのような経営姿勢は適正とお考えなのかどうか、水道局長のご所見を伺います。

 実績と予測の間に大きな乖離はないとのことですが、グラフで見ると水源量と一日最大配水量の差はどんどん開いていますよね。新しいデータで予測した結果を改めて示し、平成15年に算出した水需要予測が本当に妥当なのか確かめればいいことではないでしょうか。適宜適切とのことですが、平成12年までの15年間のデータは昭和61年からのものです。実に二十数年前のデータまで抽出していることになります。また当時長期予測とした10年後の平成25年は、もうすでに3年後です。水道局としてなぜ長期予測を持たないままなのか甚だ疑問です。意見を述べて、次の質問に移ります。

水源について

① 4月から奥多摩水道事業が都営一元化し、新たにスタートします。東京水道経営プラン2010によると、多摩地区水道については22年度から23年度で全25市町の事務委託解消となっています。多摩地区では、現在も地下水を取水していると思いますが、多摩地区における地下水の直近の取水実績をお示しください。また、多摩の地下水は平成15年末に認可水源になっていますが、今後水道施設の集中管理を行うにあたって、水源計画に位置付けるべきと考えますが、ご所見を伺います。

② 利根川水系も原水の水質が悪いと言われ、金町浄水場、三郷、朝霞、東村山など、毎年200億円以上の巨額の費用をかけて高度浄水処理施設を建設しています。一方で多摩の地下水においては、地盤沈下や水質があげられ、水源としてカウントされません。今後も取水は続けるとのことですが、問題があるのなら、都の保有水源の中にある「課題を抱える水源」に入れない理由はなんでしょうか?

③ 課題を抱える水源にあげられているその他のものとの違いがよくわかりません。例えば、砧や中川・江戸川緊急暫定や相模川分水です。説明していただけますか?

 私は、課題の解決が可能なものは、水源施設が完成していない霞ヶ浦導水のように「不安定水源」に入るのかと思っていました。取水は続けるのに都の保有水源に入らない。28万も取水しているのに、外からは見えない。取水量があるのにわからなくしていることは、不可解としか言えません。
しかしながら、答弁によると、「課題を抱える水源」に示されたものは課題の解決が可能であるので、是非関係機関と調整していただき、安定水源にしていただきたいと思います。水需要予測は、正確なデータをもって本当にこれだけの量が必要なんだと示していただければ、誰もが納得できるものになるのではないでしょうか。霞ヶ浦導水のように施設が完成していないものは「不安定水源」だけど、八ツ場ダムの暫定水利は安定水源の一部、非常にわかりにくいです。疑問を呈して、次の質問に移ります。

水源林

① 東京水道経営プラン2010では、水道水源林の機能に着目し、22年度から5年程度で荒廃の進んだ民有林のモデル購入をすることになっています。具体的にはどのように進められるのでしょうか。

② 林野庁に問い合わせたところ、森林の再生という意味でしか認識しておらず、水道水源林という考え方は自治体によるものだというお答えをいただいております。厚生労働省においても、あまり理解しているとは思えませんでした。都としての水道水源林の必要性についてお聞かせください。

③ 来年度の予算計上はないようですが、5年間の事業では、積立金対応と聞いています。もともと多摩川の上流域には、都が管理している水道水源林があり、その面積は21,631ヘクタール(区部面積の35パーセント相当)で、100年以上も管理しているとのことです。ここでは小河内ダムが対象になりますが、今後水道水源林をいったいどのくらい購入するつもりなのでしょうか?積立金の金額と併せておしえてください。

④ 22年度は費用が発生しないということですね。積立金の金額についてのお答えがありませんでしたが、新規水源開発基金の中から捻出するということでよろしいでしょうか?また、最終的にどれだけ購入するのか水道局の目途としての広さも未定なのでしょうか?先ほど公募で募るということでしたが、どんな方法で募集するのですか?

 お話を聞いていると、水道局として水道水源林が必要なのか、それとも申込みを待つだけの受け身なのかとはっきりしません。
先ほど台風のお話もありましたが、小河内ダムは堆砂率も低く(3%程度)、基本的には水道水源林の効果が出ているダムです。みどりの保全や森林再生は大切ですが、他に管理の仕方があるのではないか、水道局が水道水源林としてどこまで負担するべきものなのか疑問が生じるところです。今後の購入にあたっては、なぜ購入しようとしているのか必要性を広く十分に説明していただきたいと思います。特にモデル事業として5年が設定されているわけですが、検証をしっかりと行っていただきたいと要望いたします。
水道水源林の必要性が高いと考えれば、森林を保持しない限りダムの維持は難しいのでしょう。一方で水源開発として森林を伐採し、自然を破壊していくわけですが、一度ダムができると森林を管理し、費用をかけていかなくてはならないとは、不思議な話です。自然との共存も含めて、新しい水源開発については慎重になるべきだと考えます。