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2022年9月7日 中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)について要望書を提出しました。

2022年09月14日

かねてより問題点が多すぎて、都立高校入試への導入に反対していた「中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)」。
2022年9月7日、有志議員で教育委員会教育長、ならびに教育委員の方々に「要望書」を提出いたしました。
入試に何よりも必要なのは、公平性です。他人の点数を平均化して不受験者の点数に置き換える仮想点数をはじめとし、この制度には多くの欠陥があり、入試に導入することは不可能と考えます。

以下、内容を記します。

令和4年9月7日

東京都教育委員会
教育長 浜 佳葉子 様

令和5年度の都立の高等学校の入学者の選抜方法について(要望)

 中学校の英語教育について、平成24年度から実施された学習指導要領では、「聞く・話す・読む・書く」という4つの技能を総合的に充実することとし、令和3年度公立中学校における「英語教育実施状況調査」では、東京都の中学3年生の達成率は54.4%となっています。10年間の中学校の英語教育は着実に成果を上げており、「聞く・話す・読む・書く」の4技能も向上しているという事実があり、「話す能力」を含めて「調査書」の英語に既に反映されています。
私たちは、英語の技能をバランスよく習得するため、そして、その習得の程度を把握するために外部試験を活用することは、区市町村や中学校の判断で進めていくべきだと考えています。
 しかし、それを、都教育委員会が都立の高等学校の入試制度に組み込むことには多くの問題点があり、その解決が必要不可欠であると考えています。中学生にとって都立高校の受験は「人生で初めての試練」であり、人生に一度の経験です。不完全な制度のまま導入し、「不都合なところがあれば直していけば良い」ということは、受験生に対して無責任です。受験生は実験台ではありません。
 都教育委員会が行う都立の高等学校の「学力検査」では「多肢選択式による試験」が実施されてきました。これは、質問に対する「正解が一つしかないこと」が、短期間に大量の答案を客観的かつ公平に採点するために必要だからです。「正解がいくつもある試験」を入学試験として採用する条件は、国の資格試験のように採点者が専門的知識を有する者である場合や、英語の4技能の評価を中学校で「調査書」に記載することや高等学校の推薦入試で少人数の受験者に対して口述試験を行うことなど、採点者と受験者との間に信頼関係がある場合に限られます。しかし、「中学校英語スピーキングテスㇳ」は、その条件が整っていません。
 そこで、入試制度として「英語スピーキングテスト」を組み込むのは、次に掲げる事項が改善されてから行うべきであることから、下記のことを要望します。

                                      記

1.大学入学共通テストの記述式問題の導入及び大学入学共通テストの英語民間試験の導入が直前に延期となった問題点、すなわち、客観的かつ公平な採点を行うための担保措置、経済的環境によって受験生に不公平が生じないようにする環境整備、情報漏えいの防止策と情報漏えいが起きた場合の制度的担保措置、特定の企業(ベネッセ)に優越的地位を付与しないための措置について、明快かつ説得力のある説明を行うこと。

2.中学校英語スピーキングテストを入試制度に導入するに当たり、既に指摘されている事項に対して明確な説明を行うとともに、問題点を改善すること。(別紙参照)

3.都教育委員会の委員と受験する生徒や保護者その他の都民の意見を聴いて英語教育と都立の高等学校の入学者選抜のあり方を審議する場を設けること。

以上

東京都議会議員
(50音順)
桐山 ひとみ
関野 たかなり
田の上 いくこ
保坂 まさひろ
もり 愛
米川 大二郎

前東京都議会議員
大津 ひろ子
木村 もとなり
馬場 信男

<別紙>

1.中学校英語スピーキングテストの位置づけ及び英語の点数配分について
(1)「学力検査」でも「調査書」でもない「英語スピーキングテスト」を外付けで入試制度に組み込む理由
(2)「英語スピーキングテスト」の点数を調査書に記載させる理由及びそれによって中学校進路指導を遅らせる理由
(3)5教科入試の場合、国語、数学、理科及び社会は学力検査点140点、調査書点23点の合計164点だが、英語だけ4技能のうち「話すこと」に関する「英語スピーキングテスト」の20点を加えて184点とする理由

2.英語スピーキングテストの採点方法について
(1)Aランクは100点から80点までの21点の幅の受験生は調査書記載の点数が20点(100点も80点も同じ20点)、Bランク、Cランク、Dランクは15点の幅の受験生はそれぞれ調査書記載の点数が16点、12点、8点となっており、Fランクは34点から1点までの34点の幅の受験生の調査書記載の点数が4点(35点は8点、34点は4点、1点も4点)となっていることの理由

3.受験生にとって最も重要な「採点」について
(1)採点は、ベネッセの関連会社である株式会社学力評価研究機構のフィリピンの子会社が行い、都教育委員会は全く関わらないが、それで都教育委員会が採点に責任を持つことができるという理由及び責任を持つことができる制度的な担保措置
(2)1点を争う入学者選抜試験において「正解が一つではない」試験を都教育委員会が実施する試験として組み込むことの合理性の説明

4.英語スピーキングテストの不受験者に対する点数の付与について
(1)計算式は示されているが、その計算が合理的である根拠についての説明
(2)英語スピーキングテストの受験者が不受験者に仮想得点を付与することによって総合成績が逆転して不合格となること、及びその逆も起こりうるが、それが合理的である理由