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中学校英語スピーキングテストの問題点(抜粋)

2022年10月11日

一緒にこのスピーキングテストの都立高校入試への導入に反対している方はよくご存じかと思いますが、問い合わせ等もあるので、簡単に「中学校英語スピーキングテストの問題点」をまとめてみます。

<不平等>

〇公立中学校の生徒は「受験しなければいけない」、一方、都内の私立や国立の生徒は「受験することができる」、またさらに、都外の中学校の生徒は「不受験者」である。このように、公立、私立、国立、遠隔地により選択権があるなしが分かれ、「平等原則」が成り立たない。

〇教育庁は、「アチーブメントテスト(達成度テスト)」であると言うが、コミュニケーションとしてのスピーキングを実施しているところは多いものの、実際にこのようなタブレットを使った授業を行っている中学校は限られており、もっぱら学校外でベネッセのスピーキングテストGTECを受けたり、塾で勉強したりする生徒とそうでない生徒間の経済的格差による不平等が存在する。

〇また、自治体によってGTECを授業に導入しているところもあるが、東京都内では9区市であり、残りは導入をしていないとみられる。自治体による格差もあり、不平等である。

<不公平>

〇そもそも入試の総合得点は、5教科の場合、学力検査700点、調査書点300点である。この中学校英語スピーキングテストは、そのいずれでもないが、調査書に別途20点満点を記入するものとなっている。調査書点はざっくり5教科は各23点であるが、英語だけ43点満点になる。数学や国語が得意な生徒よりも英語が得意な生徒が入試に有利になる。

〇スピーキングテストをやむを得ない理由で受けられない場合には、仮想得点が与えられる。

ところが、中学校3年間の間に何回も受けているテストではなく、一発勝負のため、自分自身の平均点を算出できず、英語の学力テストで同じ、もしくは近い点数だった生徒10人ほどの他人の平均点が与えられる。しかも6段階の4点刻みのため、1点を争う入試において、不受験者が受験者の総合点数を上回る逆転現象が起こる可能性がある。
*80-100点はAで20点付与、65-79点はBで16点付与、50-64点はCで12点付与、35-49点はDで8点付与、1-35点はEで4点付与、0点はFで0点とレンジがバラバラ。

〇採点は、ベネッセの関連会社のフィリピンの現地法人で行われるという。口述式試験において、2名の採点で齟齬があった場合は3人目がチェックすると聞いているが、どのような体制で行われ、公正な採点なのか、採点ミスがないのか、ブラックボックスである。

しかも7-8万人の生徒の録音を同じように採点できるのか懸念がある。

<利益相反>

〇「似ているが違う」と教育庁が主張する中学校英語スピーキングテストとGTEC。利害関係を排除して行うべきだが、GTECを実施しているベネッセに入試に関わるテストを実施させることは利益相反である。

〇過去に2度も個人情報漏洩を起こしたベネッセに写真付きの個人情報を提供しないと受験できないことになっている。教育委員会が民間に公教育を委ね、後押しをしている状況です。

2019年に国会で大学共通テストへの導入で同じような問題点が指摘され、導入見送りとなりました。どうして同じ会社で同じ問題点を抱えたまま東京都で都立高校入試に使われるのでしょうか?

(続く。次回は法的側面から書きたいと思います。)