議会質問

都議会質問 意見陳述 文書質問 意見書可決

経済・港湾委員会(中央卸売市場)

2013年03月15日

① 昨年12月末の報道で処理土量の増加、想定外の地中障害物への対応、改正土壌汚染対策法の適用による土壌の移動制限を理由に、26年度の開場予定だった工事を1年間延伸しました。改正土壌汚染対策法に基づく調査や、追加した調査により、汚染対策箇所が増えたわけですが、土壌汚染対策法の改正がなければ、汚染も発見されず、当初予定の約28万立方メートルの処理で済んだのでしょうか?

 帯水層底面の調査については改正法が22年4月に施行されていたわけですし、平成23年9月30日の委員会質問で確認しましたが、土壌汚染対策工事では、噴砂への対応や搬出先の受け入れ基準に基づく調査、法令に基づく届け出等に必要となる調査が、先程の底面調査を含め平成19年の調査に加えて6つほどあることがわかっていました。処理土量が増えることは、数年前にすでに予測できたのではないかと申し上げます。なぜ昨年末に工事の延伸を決めたのか疑問です。

② 処理土量が28万立方メートルから41万立方メートルへ、1.5倍に増えたということですが、追加調査分の帯水層の底面調査と底面管理の調査はボーリングによる試料採取によって行われたものでしょうか。試料を採取したのならば、地質の種類や含水状態、粒径や色、臭いなど、地質情報はどのように記録されていますか。お伺いします。

 追加調査の試料採取について、地質の記録が無いのですね。試料採取については、土壌汚染対策法についての環境省のガイドラインでは「ボーリング調査方法(Appendix-11)」柱状図を作成するかもしくは写真を撮るなどの記録の作成が求められます。法の要求に基づき帯水層の底面調査をしているのですから、ガイドラインに満たない基準で良いとしていることが理解できません。
 Yc層といっても含水率が大きく、透水係数の高い状態であることは、平成21年12月の特別委員会でも質問させていただきました。市場が平成18年に行った地質調査による透水係数のデータを都が1ケタ安全側に専門家会議に報告したのは5街区の透水係数についてでした。追加調査によって見つかった汚染も5街区が大変多いのですが、改めてYc層の認定が問題であったと感じます。追加調査に関して、Yc層の認定が後に検証できるものとなっていなければ、拡散した汚染を見逃すことになります。
 1月24 日に築地で開かれた第2 回土壌汚染対策工事と地下水管理に関する協議会で水産仲卸 東卸組合の汚染ワーキング長 三浦委員は有楽町層の下から汚染が出た以上環境省のガイドラインにある様に第二帯水層までの調査を協議会の監視のもとに実施することを強く要望すると述べています。この様に有楽町層若しくはその下に1.5倍の追加処理の必要な汚染が出たことは、築地の関係者に大きな不安をもたらしています。
 第二帯水層の底面までの汚染調査と、追加調査についての地質の記録を改めて求めるものです。

③ 地中障害物ですが、平成22年2月18日の経済・港湾委員会で増子議員も指摘していましたが、保留地だけでも6千本の杭、保留地を含む豊洲の五街区、六街区、七街区のすべての杭を合計すると、総延長で308キロメートルにも及ぶということがわかり、保留地の6千本の平均である17メートルで割り返しても、1万8千本ほどの杭があるのではないかと予測できていたわけであります。都は、新市場の着工時期までにはその処理が完了することが必要であると言ってきたわけですが、そもそも汚染対策工事の中で取り除くことができるという計算だったのでしょうか?

④ 杭などの埋設物は、掘削したときに土とか水、地下水を攪乱しますから、汚染を広げてしまうであろうという懸念が以前よりありましたが、この膨大な埋設物に対してどのような処理をするのでしょうか?
 杭が林立して隙間の無い状態のところもありユンボが入らないところも多々あったと思われますが、その様なところはどの様に工事を行ったのかでしょうか。杭の撤去工事は完了していないと思われますが、あとどれくらい残っているのでしょうか。進捗状況についても伺います。

⑤ 今回86億円が新たに土壌汚染対策工事に加えられました。86億円の内訳を地中障害物の除去にはいくらかかるのか、汚染除去にはいくらかかるのかおしえてください。

⑥ 今回86億円が新たに土壌汚染対策工事に加えられました。平成22年3月18日の経済・港湾委員会の伊藤ゆう議員の質問にもありましたが、東京ガスは、豊洲の用地が工場跡地であるため、土壌処理や地下埋設物の撤去等が必要との見解を示し、大規模に上る改善費用についての見解を都に示しています。また、やりとりの中では、基本合意にも覚書にも土壌汚染対策に関する記載はないとのことでした。今改めて考えても、膨らむことが予想された土壌汚染対策費用についての考慮がありませんでした。都は、東京ガスに求める78億円の負担は適当であったとお考えなのでしょうか?

 今後の対応を検討するとのことでしたが、平成13年2月の覚書、7月の基本合意の中には、土壌汚染対策にかかわる記載はありません。平成23年3月に東京ガスの78億円の負担が決定したときに、都はすでに協議が完了したという認識だったのでしょうか?それとも新たな負担についても協議可能という認識だったのでしょうか?確認いたします。

 はっきりしませんが、協議していくことが可能であるという理解だったと受け止めます。
平成18年3月31日に地権者との間で取り交わされた「豊洲市場予定地に残置される豊洲地下埋設物の取り扱いに関する協定書」によれば、残置埋設物撤去費用は35億7千万円となっており、東京ガスが負担しています。今回追加の処理費用は21億円ですから、1.6倍となっています。当時のコンクリートの見積もりが5万立米から7万立米に増えたわけですから、当時の見積もりに問題は無かったのか、疑問に思います。東京ガス負担の78億円が決定した時には、土壌汚染対策法の適用は知っていたのですから、同時に考慮すべき内容でした。このような基本的な問題が着工後で出てくること自体問題であると考えます。

⑦ 土壌汚染対策費用は、586億円と言われていましたが、実際の落札価格は、5街区119億1750万、6街区333億4275万、7街区89億1450万円です。その他のどのような費用が含まれて586億円になっているのでしょうか?今後土壌汚染対策費用の総額はどのくらいになるとお考えなのでしょうか?

 その他の設計費なども入って586億とのことですが、以前にも質問しましたが、盛土の調査、対策費用は含まれていません。それでは、86億円の内、土壌汚染処理費は各街区でどの程度見積もっているのでしょうか。

 1月に公表された工事の進捗状況だと、6街区は深度部分の調査(帯水層底面調査、底面管理―2深度確認)もまだ行われていません。どのように追加汚染処理土量を計算したのでしょうか。

 5街区、6街区とはYc層の深さも厚みも随分違います。また各街区毎に汚染の種類も密度も随分違います。特に6街区は環境基準4万3千倍のベンゼンが出た区域でもあり、汚染物質を埋設処理していたところでもあります。またYc層が薄く1m~2m程度と薄く広がり、Yc層を突き抜ける可能性も大です。その様な状況で処理費用が都の推計方法の見積もり内で納まるのか大変疑問に思います。

⑧ 基本計画がつくられたのは、平成16年7月ですが、27年度開場とすると、仮に3月とすれば9年9カ月の期間がかかることになります。都が示した築地市場現在地再整備の場合では、11年9カ月。これは私たちはさらに短くなるのではないかと工期短縮の可能性も特別委員会の中でお示しいたしました。当時盛土の汚染や地下水管理の問題など不確定要素が多く、土壌汚染対策は20ヵ月で終わらないのではないかと指摘もしてきました。今後は土壌汚染対策や液状化対策によって、これ以上工期が長くなるということはないのでしょうか?お尋ねします。

 定められた工期の中で対策工事が完了できるよう努めていくとのことですが、施設建設が27年度完成とプレス発表されていました。開場予定についてはどのようにお考えなのでしょうか?

 28年度開場も考えられるということかと思います。

⑨ 以前にも複層階になった建物について質問しましたが、建築工事においても、関係者の要望を取り入れた結果当初の予定とはだいぶ姿形が変わってしまったようですが、工期に影響はないのか確認をいたします。また、建設費は当初990億円でしたが、現在示されているのが1,300億円、その他旧民間施設整備費が232億円ということで、合計1,532億円ということでよろしいのでしょうか?確認をいたします。

⑩ 586億円に86億円が追加され、672億円。1,532億円と足して2,204億円です。当初市場の保有資金が1,350億円とのことでしたが、国庫交付金も含め、財源不足についてはどのように考えればよいのでしょうか?

 私たちは、豊洲新市場の整備にあたって、さまざまな課題や可能性を指摘してきました。改めて当時の都が答弁してきた現在地再整備案との比較が適正ではなかったと指摘をさせていただきます。
 着工1年強ですでに、汚染処理土量1.5倍、埋設物処理費用1.6倍、施設建設費1.5倍など事業の見直しが必要となっていますが、不十分な汚染調査や、施設計画の不透明性などは何度も何度も指摘をさせていただきました。まだ、この事業は不確定な要素を多く含みます。土壌汚染対法の指定解除の問題、地下水モニタリングの結果が出ないままに着工して、汚染が出た場合の追加調査や追加対策が必要になった場合どうするのかなど、重大な点が数多く残っています。まだ関係者や消費者の理解が得られている状態ではないということを申し上げます。