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経済・港湾委員会(中央卸売市場) 議事録

2011年09月28日

豊洲液状化 2011.6.28

(1) 3月初旬の委員会でも液状化についてお尋ねしましたが、実際東日本大震災の後、調査していただいた豊洲新市場予定地の液状化について伺います。代表質問で液状化についてのオープンな形での調査・公開について質問がありましたが、技術会議の専門家から助言を受け調査している等の答弁がありました。液状化については、都内でも東部を中心に被害が出ており、課題となっています。ましてや食を扱う市場用地の汚染土壌が沸きだしていないのか、懸念するところです。複数の専門家が意見を出し合い、議論の結果を導くことが情報公開のあり方であり、安全に対しての責任であると考えます。会議の議事録で名前や個々の発言の公開をしてこそ、責任を持った判断だと納得することができるのではないでしょうか。なぜ今回技術会議を開いて、検討段階を含めてのオープンな形をとらなかったのでしょうか?

東京都の液状化についての方針は、対応策として公開されることになるとのことですが、責任の所在も明らかになるようどのような方々の助言を基につくられたのかお答えいただけますか。

(2) 次に、豊洲新市場予定地においての液状化対策について、前回聞きそびれたところをお尋ねいたします。液状化対策については、「地表から不透水層までの深さに応じ、砂杭で締め固める工法や、固化剤を用いて地盤を格子状に固化する工法など、阪神・淡路大震災でも実績の認められた工法を用いて、地盤液状化を防止します」とあります。例えば5街区は格子状固化工法かと思いますが、柱を打って対策するのなら、液状化しない土壌の上までの長さが必要で、下に液状化する層があるのなら、効果がないのではないかと考えますが、いかがでしょうか?

(3) これも以前指摘させていただきましたが、セメント系の固化材というのは、油分があると固まらないはずですが、ベンゾ(a)ピレンの処理では、ベンゼンが環境基準以下の場合は、処理をしないで残るので、油分があちらこちらに残ることになります。どのようにお考えでしょうか?

順序としては、汚染対策をしてから液状化対策とのことですが、護岸側の遮水壁は、汚染対策工事の前にセメント固化工法で壁を作るものでした。油分が残るのならば、壁の強度に問題が生じるのではないでしょうか?

油分は、土壌汚染対策法の汚染物の対象範囲外ですが、有害物質であるので、専門家会議も調査を要求しました。しかし、結局は埋立地に捨てるかどうかの判断に使ったのみで、ベンゾ(a)ピレンの調査同様、最終データは専門家会議に示されたわけでもなく、対策にも反映されませんでした。油分そのものの対策が見られないまま地下に油汚染が残ったままの市場となることが明らかになったわけです。今後市場用地としてどう評価されるかが問題だと考えます。

(4) 液状化の対策範囲について確認いたします。緑地部分については耐震対策をするとのことでしたが、液状化対策もするということでよろしいでしょうか?

(5) 建物以外の部分はすべて液状化対策をするということになりますが、なぜ建物の部分は行わないのか改めて確認いたします。今回、液状化が見られた箇所を見てみると、5街区では、千客万来施設や青果の卸・仲卸売り場の建物に一部重なります。また、6街区は、見事に水産仲卸売り場の建物に重なります。液状化対策をしなくて、本当に大丈夫なのでしょうか?

(6) 建物の基礎については、杭を支持層まで打ち込むとのことですが、この支持層とは、どこを指しているのでしょうか?(不透水層?)

私の地元、江戸川区清新町にある建物は、ほとんど20Fを超える高層ですが、支持杭の「抜けあがり(ネガティブフリクション)」を起こしています。軟弱地盤の厚さが50m近くあるため、支持杭も長いのですが、液状化の振動や流動で、支持杭が損傷している可能性も考えられるそうです。6街区、7街区は、杭が40mに及ぶと考えられますが、大きな地震が起これば、水平方向の揺れで、やはり破損するのではないかと考えます。建物の下も液状化対策をするべきではないのでしょうか?

(7) 液状化対策をしなければ、当然に地盤沈下を防ぐことはできません。私の地元の江戸川区でも、隣の浦安市でも液状化による地盤沈下で家屋が傾いています。今回地盤沈下については、調べていないのでしょうか?

(8) 今回液状化が見られた場所について、それぞれの街区で計測した日にちをおしえてください。

(9) 液状化が予測された場所に見られたのかどうかご見解をお聞かせください。

(10) 7街区については、液状化判定が出ていましたが、今回噴砂は発見されませんでした。どのようなご見解でしょうか?

(11) 絞り込み調査と照らし合わせて見ても、土壌及び地下水に汚染の発見されたところと、発見されなかったところから噴砂が出ています。今回は、噴砂のサンプルを採取して汚染物質を調べたのでしょうか?もしくは、今後調べるのでしょうか?

(12) 代表質問では、「砕けた貝殻が多数混入しており、基本的に浚渫埋土層から垂直方向の砂の動きである」と答弁されていましたが、噴砂は、どの層から噴き上がったものと考えているのでしょうか?確認いたします。

地盤解析資料の柱状図を見ると、記事という欄に貝殻混入があるところがたくさんあります。埋土と単純に考えるのではなく、液状化がどの層に及んでいるのかいくつもの可能性を考えて対策するべきではないでしょうか?ご見解があれば、お願いします。

(13) 液状化対策をしたところについては、阪神・淡路大震災でも噴砂が起こらなかったと、以前臼田部長も答弁しておられました。ところが、東日本大震災により、対策を行う前に液状化が起こってしまいました。つまり、10メートルメッシュで調査し、対策することになっていた汚染箇所が動いていると考えられます。これにより、土壌汚染対策は何らかの変更をするのでしょうか?

液状化とは、地震動で、地下水位が上昇し、間隙水圧が高まって,地層中に散在する多くの溶けやすい箇所が,部分的に溶け,液状化します。地震動が続くと,溶けた箇所が拡大し,その数も増えるなどして,液状化した部分が層のなかでつながるようになります.地下水の水圧も高まり,地下水位は地表面を超えるほど高くなります。地表の弱いところから砂と水が混じった液体状のものが一気に噴出します。簡単に言うとそのような仕組みです。
つまり、噴砂の箇所だけでなく、土の中で対流が起こっているわけですから、地表面に見えない部分も動いているわけです。A.P.+4mから2mの土壌を入れ替えても、その下にある対策すべき箇所を10メートルメッシュで区切って調べたものがもはや正確とは言えなくなっています。
地震により対策の対象が移動しているので、再調査が必要と考えますが、改めて答弁を求めます。

(14) 地下水の対策も3年前の調査に基づいて対策するつもりなのでしょうか?

液状化発生地点で液状化現象が地下地質をどのように通り抜けてきているかを確認する「トレンチ調査」が必要だという専門家の声もあります。正確な調査に基づいた汚染処理がなされなければ、地下水の2年間のモニタリングで、汚染が環境基準を上回る可能性が高くなります。調査後に液状化という事態が起こっていない通常の場合でも、指定解除が出来ないこともあるわけですから、自然由来のヒ素、鉛に加えて他の汚染物質に対しても「形質変更時要届け出区域」の指定が解除されない事態になりかねません。

(15) 地震の前と後では状況が異なったということを認識し、適切な対応を求めます。586億円という土壌汚染対策費にしばられ、また開場時期に合わせて調査や対策の手を抜いては、安全は確保できません。最後に、安心・安全な市場とはどのようなものか、改めて岡田市場長に伺いまして、質問を終わります。