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第一回定例会 議事録

2011年09月17日

水源開発

新たな水源が必要か否かについては、これまでにも多々議論されてきましたが、当然ながら正確なデータに基づいた判断が必要です。現行の水需要予測は平成15年から10年間の長期予測、25年までのもので、残り2年となる中、改めて水需要予測の見直しを求めるものです。昨年末に「将来の首都東京にふさわしい水道施設の再構築を考える会」の第一回会議が開かれました。水道システム全体の安全度を向上させ、将来にわたって安定給水を確保することを目的に、首都東京にふさわしい水道施設の再構築に向けた基本構想を策定するためのものです。今後の水源や施設整備にあたっては、長期的な視点が求められ、当然に水需要予測が必要です。考える会では、2011年度中に構想をまとめるとのことですが、当然検討の前の判断材料として、年度内然るべきときに新たな水需要予測が示されるのでしょうか?
水源開発においては、当然に費用がかかり、水道料金にかかってくるものとなります。八ツ場ダムの開発にあたっては、東京都の負担金が2015年までで635億円。水道の利水分だけで472億円ですが、起債の利子分があるので、実際の事業費負担額は791億円になります。水道料金におけるこの建設コストの負担分は、22年度分で1立米あたり0.792円で、暫定豊水水利権の分も含まれています。昭和45年から水道料金への負担が課され、62年から起債がありますが、毎年の起債額により、影響額はその都度異なります。0.1円に満たない年もあれば、1円を超える年もあります。いわゆる標準家庭の1ヵ月あたりの水道使用料は24立米とされていますが、仮に影響額を1円で計算すると、1ヵ月24円の値上げになります。工事の進捗によって事業費がさらに膨らむことも考えられますが、現在の推計では、この先事業費負担分は元利も含めてどれくらいで償還されるのでしょうか?さらに、今後新たな水源、すなわち八ツ場ダムが完成し、安定水利権となった場合の給水原価に含まれる負担は、どれくらいなのでしょうか?
水源施設全体では、21年度分1立米25.84円を占めています。先ほどの標準家庭の例では、1ヵ月620円強です。利用者に負担がかかるのですから、新たな水源開発においては水需要予測を含め慎重に検証されなければなりません。
多くの都民は、水源、すなわちダムとかかる負担の関係をよく知らないのではないかと考えます。ダムに関しては、今回取り上げた利水だけではなく治水分の負担、また、上水があるならば当然に下水料金にかかる負担もあります。利水・治水の必要性とコストと負担の関係から具体的な料金への影響を公に示すことが、水源開発を考える上で必要です。新たな水源を開発すれば、それだけ負担が増す、つまり水道料金に影響があるということを都民に告知したことはあるのでしょうか? お尋ねいたします。

次に北小岩一丁目東部土地区画整理事業です。

平成16年より江戸川区におけるスーパー堤防事業についての話し合いが始まり、北小岩一丁目東部地区では平成18年から5年に及ぶ議論が続いています。この土地区画整理事業は、スーパー堤防と一体化した事業とされていましたが、昨年10月末の国の事業仕分けで、治水事業であるスーパー堤防事業は「事業廃止」の判定があり、23年度予算案にも新規事業として計上されていません。国の見直しに伴って、区は、「高規格堤防事業の有無に関わらず、土地区画整理事業の施行にあたっては盛土造成を行い、隣接地との高低差を解消することが必要である」と方針を変更し、スーパー堤防がなくとも盛土を伴う区画整理が必要としています。都の都市計画審議会での審議に先立って、都市計画については当然江戸川区の都市計画審議会を経ているわけですが、区の都市計画審議会の議案書では、「事業の実施については、国土交通省の高規格堤防事業と共同で行う予定である」としていました。また、区の都市計画素案説明会でも、スーパー堤防事業工事が、区画整理工事より先に着工されるという事業スケジュールが示され、事業はまさにスーパー堤防を前提としていました。ところが、今回の施行者の見解では「高規格堤防の有無に関わらず盛土造成・・・」とあるのですから、区が諮った都市計画と都で審議される事業計画案の内容が異なるわけです。現在の事業計画案を変更することなく、そのまま審議を進めることができるのでしょうか?ご見解を伺います。
都の都市計画審議会では、3月に意見書の採択が行われます。ところが、提出された意見書も12月に行われた口頭陳述もスーパー堤防に関するものばかりです。事業計画書案では、「本地区は国の治水事業である高規格堤防事業の対象河川の江戸川沿川に位置し、本地区のほとんどが高規格堤防の施行範囲内に位置する」とだけされていますが、その内容のまま審議が行われると、それらの意見は「事業計画以外に関すること」に分類され、審査の対象になりません。区が複数年に亘り説明し、都市計画にも示してきた「スーパー堤防との共同事業」として理解している住民は、当然スーパー堤防についての意見をしますが、それがすべて審査の対象外になってしまうことには、疑問を感じざるを得ません。審査におけるスーパー堤防事業の扱いについて、改めて都の見解を求めます。
土地区画整理事業とは、基本的に用地買収をせず、土地の権利を変更することなく、換地等はあれども仮住まいから地域に戻ってくるものと認識しています。ところが、この地域においては、土地の先行買収が行われ、88名の地権者のうち19名がすでに手放している状況です。平成16年に行われた平井7丁目のスーパー堤防事業でも4割がもとの土地に戻ることはありませんでした。盛土をすることにより、通常の区画整理事業が1-2年とすれば、4年はかかる、2度の移転を強いられるなど、住民の負担が多くなってしまいます。スーパー堤防と切り離してまで何故盛土が必要なのかは、合理的な説明がなければ納得できるものではありません。都は、スーパー堤防と離れて、住民の負担を強いてまで盛土を行う必要性をどのように認識しているのでしょうか?
国では見合わせることになったスーパー堤防事業ですが、新聞記事によると、江戸川区長は「都の都市計画審議会で近く、北小岩地区の事業化が決まる見込み。国にはやってもらわないと困る。どこまでも押していく」と話しているとあります。都の事業認可をきっかけに、区が国のスーパー堤防事業が進むことを期待しているということです。区の目的と東京都の審議内容、また国の判断がそれぞれ異なることになります。このような状況の中で、東京都が単なる土地区画整理事業として認可の手続きを進めることには疑問があります。ご見解を伺います。
数年前突然降って沸いた事業案に、この地域の住民は、賛否でまちが分断され、隣の人と目を合わせられないようなコミュニティの崩壊を感じています。「役所の人は何年かで替わってしまうけれども、私たち住民はずっとここに住んでいくのだ」という切実な思いを聞きました。住民が蚊帳の外に置かれたまま事業だけが進んでいく状況をつくってはならないと強く申し上げます。

特別支援学校

「東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画」で目を見張るのは、知的障害の生徒の増加と情緒障害等の通級指導学級の利用者の増加です。
「障害のある児童・生徒数の将来推計」にもあるように情緒障害等の生徒数は、平成16年度1,831名から21年度で倍増、32年度の推計値では4倍強となり、著しい増加傾向です。こうした中、都は小・中学校における発達障害の児童・生徒に対する新たな特別支援推進教育体制として通級等の整備の考え方を示しました。
しかし、義務教育での発達障害については記述があるものの、特別支援学校における発達障害の生徒に関しては、ほとんど触れられていません。本来知的障害の特別支援学校に発達障害のみの生徒はいないとされていますが、知的障害の生徒のクラスに発達障害の生徒が入る例が見られます。発達障害と知的障害の重複と思われますが、発達障害の側面が大きく表に出てしまうようです。私の地元の白鷺特別支援学校の例では、愛の手帳を持っていない生徒は、中学部で3.6%、高等部で8%ほどです。障害の重複によって知的障害が軽いなど、手帳取得に到らない生徒の割合だと推測します。第三次計画の中では、発達障害の生徒一人一人の状態は一様でないことが示され、きめ細かい支援が必要になるとされています。発達障害に伴って、精神医療を受けている生徒も見られます。また、現場では、教員が多動なパニックを起こしやすい自閉症の生徒の対応に追われ、すべての生徒に教育が行き届かないのではないかなど保護者の懸念が聞こえてきます。知的障害特別支援学校において、知的障害と発達障害を併せ持つ児童・生徒が増え、様々な課題がある現状をどのように認識し、今後配慮が必要な児童・生徒に対してどのように指導を行っていくのか対応についてお伺いします。
第三次計画では、増えていく生徒数に対応するため、併置や改築などご努力をされていることは理解しながらも、抜本的に対応していく必要があると考えます。この5年間は併置や改築で間に合うかもしれませんが、その後はどうでしょうか。特別支援学校の高等部に入学する生徒は、義務教育である中学校の特別支援学級に通っていた生徒が約7割とされています。
「すべての学校における特別支援教育の充実」としながらも、高等部においては、おおむね特別支援学校に任せている現状があります。障害者にとっての一貫した教育を考えたときに、小・中学校だけでなく、都立高校における特別支援学級設置も視野に入れ、今後の特別支援教育の充実を考えていくべきではないでしょうか。今後の見通しについて伺います。

社会的養護

厚生労働省の児童相談所運営指針では、原則的に、「一時保護の期間は2ヵ月を超えてはならない」とされています。しかしながら、一時保護所で子どもが過ごす期間は長くなる傾向にあり、中には2ヵ月を超えるケースもあると聞きます。保護期間が長くなると、子どもの通学の問題も当然に発生してしまいます。東京都では一時保護の長期化についてどのように認識をされているのでしょうか?少子化ではあるものの、社会的養護の6割とも言われる虐待による保護児童が増えています。都がこれまで、一時保護所の定員を168名までに拡大してきたことには理解しつつ、一時保護所の状況により、家庭からの緊急保護ができないのではないか懸念いたします。虐待等の通告による保護に問題が生じていないのか、状況と対策について伺います。
児童養護施設開設は、資金面や地域での理解の問題があり、容易ではありません。都の養護児童グループホームの推進は、施設分園型グループホーム事業として長年取り組まれてきた事業だと思いますが、本園の近くでの設置となるため、どうしても地域偏在してしまいます。都内に児童養護施設は40ヵ所以上ありますが、江戸川区や江東区には一つもありません。そういった地域の子どもたちは、元々住んでいたところを離れての施設生活になります。中には、自然環境に恵まれた都外施設でのケアを必要とするケースや虐待等何らかの事情によって離れた地域を選択するケースもあるでしょうが、基本的には家庭復帰や社会的・経済的自立をしていくために、地域との関わりが重要です。家庭復帰できない子どもは、原則18歳で施設を離れていきますが、地域性のないところで放り出される格好となってしまいます。高校中退などしようものなら、18歳未満の年齢で社会に放り出されるわけです。
東京都児童福祉審議会は、就労に向けた支援として、地域の企業と連携した取り組みの強化や自立後も挫折しがちな若者を継続的に支援する仕組みの構築などを提言しており、都も取り組みを進めていますが、こうした取り組みも、生活基盤を置く地域から遠い施設に措置された場合には、利用しにくいものとなってしまいます。それまで住んでいた地域に近い施設を利用する必要性について、また就労支援やアフターケアについて都の認識を伺います。