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公営企業決算委員会(下水道局) 議事録

2010年09月25日

雨水による浸水対策

 節水などによる下水道使用が減少する中でも、自然環境による雨水については、予測を超える事例も多々見られます。国土交通省のデータによると、1993年から2002年の10年間における被害額の割合は、東京都で80%が内水、20%が外水となっています。ここでは区部下水道事業においての雨水による浸水対策について伺います。下水道局では、老朽化施設の再構築を進め、更新に併せて管きょを太くすることで浸水被害の軽減を図ってきました。また、幹線管きょの整備延長はもちろん雨水ポンプの設置台数を増やしてきています。
最近では、局所的集中豪雨にも対応できるよう幹線やポンプ所の整備で浸水対策を強化しています。東京丸の内などの地下街5地区では、1時間75mmの降雨に対応できる貯留施設を整備・検討しています。

① 雨水整備クイックプランでは、繰り返し浸水被害が発生している42地区や大規模地下街を有する4地区などで、暫定貯留管整備など緊急的な対策を平成11年から実施していますが、暫定的な対策を今後どのようにして長期的な対策にしていくのでしょうか?

② 長期的には下流の整備に取り組んでいくということですね。1時間50mmの降雨への対応は、現在区部で6割を終え、今後残り4割のうち重点地域を対策促進地区として整備を行っていくと聞いています。この4割の整備をどのように行っていくのかお聞かせください。

③ 年間1%しか進まない、進捗が遅いようにも思われますが、以前は年間0.6%と聞いていましたので、今後ともご努力をお願いいたします。2004年の経営計画では、1時間50mmの降雨に対応する幹線管きょの整備延長や新宿・渋谷の駅周辺など場所によって1時間70mmの降雨に対応する貯留管を整備するなどしていましたが、2010年の経営計画では、75mm降雨に対応する地下街も出てきました。最近では、1時間に50mm、70mmを上回る集中豪雨も見られますが、今後、予測できない集中豪雨に対応するために、さらに対応降雨量の想定を大きくすることは考えているのでしょうか?

④ 長い年月と多くの事業費がかかるとのことで、なかなか大変な事業でありながら、さまざまな方法で浸水対策に取り組んでいることや優先順位をつけて重点的に整備していくという方向性は、よくわかりました。都市の駅周辺や地下街のみでなく、住宅街においてもさらなる対策が必要になってくると思われます。対応貯留容量の大きい施設を望む声も上がっています。今後の対応について、ご見解があればお願いします。

 集中豪雨などによる下水があふれるとか雨水がたまってしまうなどの問題は、昔からよくありました。多くを一度には望めませんが、生活に即した課題の解決に向けて、今後ともご努力をお願いいたします。

設備工事の契約について

 経営計画2010によると、耐用年数を超えた下水道管の延長は、約1,500kmに達し、今後、耐用年数を越える下水道管が急増する中、幹線の再構築をするために下水の流れを切り替える新たな幹線が必要という課題や、減少してきているとはいえ、道路陥没の問題などがあります。
建設費は毎年増え次年度の予算見積では、4,150億円とされており、今年度予算と比べても200億円の増加となっています。課題に対応するための必要経費が今後も増加することが予想されます。下水道局では、サービスの向上のために、経営効率化に努め、最小の経費で最良のサービスを提供するとされています。先ほど来、監理団体についての質疑がされていますが、都民が望む効率化とは何なのか、透明性とは何なのか、公益性とは何か、あらゆる角度から考えていかなくてはなりません。つきましては、契約関連の努力も必要との視点から、設備関連の契約について質問します。

① 約1年間に渡り、公営企業委員会で契約締結報告書を見てまいりました。設備関係の契約において改善の余地があると思われる事項について質問をしてまいります。議会にかかるのは9億円以上の案件ですが、この度9億円以下の契約についても1年間の経過調書を資料としていただきました。
まず、指名競争入札の場合、公表をして、入札参加希望する業者を募る際、10者程度は参加することが望ましい、5者未満になってしまった場合は、下水道局側からも働きかけをすると聞きました。何者希望しているかは、その都度確認しているのでしょうか?また、一般競争入札の場合はいかがでしょうか?

② 5者未満になってしまった場合に参加業者を増やすためには、過去の実績などから業者に声掛けをするのかと推測しますが、どのような基準で選定し、参加を促すのでしょうか?

③ 指名競争入札に関しては、競争になるようにご努力されているとご説明をいただきました。9億円以上は一般競争入札ですが、入札経過調書を見ていても、参加者が少ないという印象ですが、下水道局は参加者が少ないことを認識されているでしょうか?また、なぜ参加業者が少ないのかご見解があればお聞かせください。

④ 下水道設備は、専門的で技術水準の高いものもあり、業者数が少ないということですね。下水道設備の特殊性とはどんなものでしょうか?またどのような規模を指しているのかおしえてください。

⑤ 電気設備やポンプ設備も一般的な建築の設備とは異なるとのことでした。それでは、専門性のある分野とそうでない分野という具合に、コンストラクション・マネジメント方式で分類して発注することもできると思いますが、いかがお考えでしょうか?

⑥ 9億円以上の案件については、入札日時平成19年6月22日~22年7月29日までのおおよそ3年間の経過調書を拝見しました。また、同時に辞退届もすべて拝見しました。入札に参加する意思を見せながらも辞退する業者が大変多いという印象です。<図> 電子入札の競争入札になっていながら、辞退が多く、事実上競争になっていない案件が多くあります。入札辞退が多い理由について、下水道局は、どのようにお考えでしょうか?

⑦ 辞退理由を調査しているのなら、調査結果を反映させる仕組みを考えるべきではないかと考えます。平成21年10月28日に都の財務局が「公共工事に関する入札契約制度改革の実施方針」を発表し、発注者と受注者の信頼関係の醸成に触れて、業界団体との意見交換の場の設置を設けるとしています。このような意見交換を行う場としての連絡会は設けているのでしょうか?

⑧ 財務局の示す連絡会とは異なるのでしょうが、意見交換はしているということですね。学識経験者など第三者も含めた連絡会を設置したほうがよいのではないかと意見だけ申し上げます。
下水道設備工事の特殊性があるかもしれませんが、発注者として優良事業者の受注機会を拡大するため、より良い公共調達の実現にさまざまな角度から取り組むべきだと考えます。
視点を変えますが、もし、業者数が極端に少ないのなら、特命随意契約にするという方法もあります。地方公営企業法施行令21条の14、第一項には、契約の性質または目的が競争入札に適しないとき、緊急の必要により競争入札に付することができないとき、競争入札に付することが不利と認められるときなど、随意契約できる場合が記されています。競争入札よりも工期の短縮、経費の節減が図れる場合もあります。1社入札で残り全部辞退の案件では落札率がおおよそ95%。中には98、99%を超えるものもあり、落札率が高い傾向です。こうした中、さまざまな検討ができるのではないかと思いますが、ご見解をお伺いします。

⑨ 競争入札が望ましいのは、当たり前です。そう思われるのであれば、尚のこと発注側の工夫を考えるべきではないでしょうか。1社だけが参加し、落札、その他が辞退している件数がこれだけあるのですから、この現実的な結果を見て、改善に取り組んでほしいと申し上げています。
例えば、1社だけでは不調とする、再度入札をするなど工夫ができないのでしょうか?ご見解を伺います。

⑩ つまり、電子入札なので、開けるまで業者側は結果がわからない。結果的に1者のみ入札であっても競争性は保たれるということですね。契約は、古くて新しい問題です。どこの自治体でもさまざまな努力を重ねて、試行錯誤しながら、改善を図ってきています。
電子入札によって、談合が少なくなるというメリットが言われてきましたが、入札参加者の積算の努力がわからない、簡単に辞退できるといったことも新たな課題として取り組むべきではないでしょうか。いろいろ伺わせていただきましたが、あれもできない、これもできないといった答弁でした。知恵を結集し、また場合によっては第三者の意見を入れながら、取り組むべきではないでしょうか。参加業者をもっと増やす努力をし、真に公平な入札の確保に向けて努力をすべきと考えますが、ご見解を伺います。

 設備以外の契約案件では、熾烈な競争入札になっており、低入札価格調査や特別重点調査がなされ、低価格入札で失格になっているところが多くあります。もちろん、この状況が良いとは言えませんが、入札辞退が極端に多く、事実上競争入札になっていないことをもっと疑問視するべきではないかと考えます。公共調達は、「透明性」「競争性」、そして都民に還元する「品質確保」が必要であり、より良い公共調達の実現に向けて、惜しみない努力が必要であると申し上げて質問を終わります。