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公営企業決算委員会(水道局) 議事録

2010年09月29日

株式会社PUC

① 株式会社PUCは、平成18年10月31日に監理団体の指定を受けました。同18年10月に「東京都水道局における一体的事業運営体制の構築について」というプレス発表が行われ、監理団体を活用した効率経営と指導監督の一層の強化に向けて出資率を過半数まで上げるとのことです。団体の有する支援・補完機能や、「『10年後の東京』への実行プログラム2010」を踏まえ、団体職員数及び団体に派遣している都職員数の適正化を図ったとされていますが、監理団体に派遣する都職員の適正な数とは、どのように決められるのでしょうか。株式会社PUCに派遣されている職員数も併せておしえてください。

② 都から派遣している適正な職員数には、東京都の退職者は含まれるのでしょうか?

③ 一層の経営効率化や公共性を発揮させるため、外部の意見を経営に反映することを目的に東京都水道局運営体制諮問委員会が設置されています。議事録によると、「退職派遣」があり、局の職員が実際に会社の社員になり、会社の社員として局の事業を担い、一定期間の後、局に戻って今度は局の立場で事業を担うといったことが書いてあります。PUCは、役員7名のうち2名が都退職者、2名が派遣。常勤職員372名のうち都退職者が23名、10名が派遣となっています。この退職者23名はその「退職派遣」ですか?

 都からの派遣10名は、監理団体から例えば研修や技術的助言などのために要請があったというようなことでしょうか?適正な都からの派遣職員数に入らない都退職者23名は、OBがたまたま入社しただけということでしょうか?

 東京都水道局運営体制諮問委員会の議事録を読んでいると、東京水道サービスもPUCもOBを採用したいと言ってるんです。経験や実績のある人がよいと。もちろん監理団体の枠を超えて利益誘導にならない限りは、理解できる話です。でも、その一方で、一体的事業運営という言葉がいつも出てくるのですが、水道局が監理団体への支配をどのように考えているのか理解しにくい。役員に局職員を非常勤で送り、「常勤ではありませんよ、決定権は株式会社ですよ」という意味だと思うのですが、その一方で役員の代表取締役社長はじめトップ2は水道局のOBなわけです。OB2名をトップに据えているのは、経験実績の点からの抜擢なのか、水道局の一体的運営のための支配権なのか、ここをどう理解したらよいのかよくわからないというのが感想です。

④ PUCの監査役は水道局からの職員2名が非常勤で務められています。運営体制諮問委員会で指摘されたかんり監理団体への外部監査の導入や会計参与の設置は、その後進められたのでしょうか?同様に指摘された東京水道サービスは策定済みという情報公開規定についてPUCでは策定されたのでしょうか?

 情報公開規定なのに、HP等では掲載されていないようです。せっかく策定したのであれば、情報公開してはいかがでしょうか。意見として申し上げます。

⑤ 議事録によると、準コア業務を担わせる監理団体としてPUCが挙げられ、検針結果の審査業務やお客様センターの運営など、水道料金の徴収に関連した業務に活用とされています。(2007.2.28 公営企業委員会)監理団体は、公と民の側面を持ち、公益性。公共性を確保しながら効率的に高度なサービスを提供できるメリットを有しており、政策との連動性が高い業務を、都と連携しながら一体となって実施するとされています。水道局では、どのような業務が「政策との連動性が高い」とお考えなのでしょうか?また、政策との連動性が低いものは、民間が行うという認識でよろしいでしょうか?

⑥ 株式会社PUC第6期事業報告書によると、東京都とPUCの取引金額は年間約110億円です。平成17年度から21年度まで過去5年間の水道局の物品委託の契約一覧を拝見いたしました。水道局からPUCへの発注は、私がいただいた資料、1000万円以上の契約で計算したところでは平成17年度から21年度では131.29%の伸び、平成18年度から21年度では118.94%の伸びです。PUCへの発注が増えることによって、水道局の業務はどのように変わったのでしょうか?

⑦ お客さまセンター運営業務、サービスステーション運営業務などを委託することにより、基幹的業務もサービスが向上したということでよろしいでしょうか。ところで、水道局からPUCへの発注は、すべて随意契約ですが、なぜ随意契約になっているのか理由をお聞かせください。

⑧ PUCはシステム関連の業務などをよく受注しているようですが、ネットワークシステムや情報管理システムの開発などまで、水道局から監理団体に発注するのはなぜでしょうか?

 例えば、PUCには教育庁からも「教職員人事給与システム」が発注されているし、主税局からも「軽油引取税に係る電算処理システム」が発注されています。他局では、必ずしも各局の監理団体にシステムを任せているわけではありません。経験や実績からPUCに随意契約されていることです。理由は伺いましたが、しかしながら、都の派遣職員がいる、OB職員がいるという中で、民間でもよいものが、たまたま監理団体の「民」の部分で随意契約されているということになるのかと思います。

⑨ 監理団体としてPUCが受注している事業になるかと思いますが、例えば区部・多摩ネットワークシステムの開発作業や保守作業、徴収ネットワークシステムの運営管理業務などが競争入札でPUCから民間に発注されています。再委託されています。監理団体だから発注されたシステム系の業務が競争入札で民間に発注されるのはなぜなのか解せません。ご見解があればお願いします。

・PUCだから水道局が随意契約したものが競争に付されて民間に出されているということですが、水道局としては是としているということですか?

⑩ PUCから発注する契約の内訳件数を拝見しました。21年度の合計件数が1,073件ですが、どんなものが競争契約になり、どんなものが特定契約になったのでしょうか?

⑪ 水道事業における基幹業務のうち、監理団体が担うべき準コア業務にPUCの場合、お客様センター運営業務があるかと思います。競争入札にお客様センターの運営に関する契約(オペレータ派遣契約)がありますが、なぜ監理団体が担うべき準コア業務が競争にかけられ、民間によって行われるのでしょうか?

 政策連動性が低い定型的な業務は、民間へということだったかと思います。総合受付業務は定型的ではないということですか?それとも非定形的ということですか?

 豊富な知識と経験からPUCが人材を育てていて、オペレーターにしているというのならわかるのですが、PUCが競争入札にかけています。一体どこが定型的で、どこが基幹的なのかわかりません。

⑫ 監理団体の契約は5種類でしたが、少額契約はいくら以下の契約を指すのでしょうか?

⑬ 少額契約が903件で257,993,087円(2億・・・)と少なくない契約ですが、PUCの場合は、業務委託や物品購入になると思います。東京都の基準だと物品買入れが160万円以下、業務委託は100万円以下が少額契約ですが、都の基準に合わせていくつもりはないのでしょうか?

 こういう部分だけ監理団体の「民」の部分が出てくるのでしょうか。監理団体の監督責任がある水道局として、できるだけ1者のみの契約にならないように努力するべきではないかと申し上げます。

⑭ 多摩地区営業業務委託が毎年26億円余りの金額でPUCに発注されています。どのような業務が委託されているのでしょうか?サービスステーションは、なぜ監理団体が執り行うべき基幹業務となっているのでしょうか?

⑮ PUCのホームページを見ると、PUCが多摩地区5か所でサービスステーション業務を開始したのは、2006年4月。都の監理団体の指定を受ける前でしたが、民間にはなじまない業務だったのでPUCを監理団体にして委託したというような判断だったのでしょうか?

サービスステーション業務は基幹的業務であることには以前から変わりなく、民間ではなく、報告団体であるPUCに委託していたけれども、監理団体に指定したということでしょうか?

⑯ 多摩地区のサービスステーションに係る業務はPUCから民間企業に特定契約で発注されていますが、民間企業に特定契約で発注する理由は何でしょうか?

⑰ 監理団体が行うべきもの、民間が行えるものの区別がはっきりしません。何を監理団体に任せ、何を民間に任せるのか、業務について、さまざまな視点からの見直しが必要ではないでしょうか。
東京都水道局運営体制諮問委員会では、委員が一体的事業経営に触れて、この民間の資本から切り離された株式会社、監理団体を懸念していました。資本といえば、PUCの資本は東京都56%、㈱宅配が16%、第一環境㈱が16%、その他みずほ銀行や損保会社が入っています。その株主になっている企業がPUCから特命契約で受注をしている。そしてPUCの発注事業は水道局からの事業である。この資本関係や契約関係を明確に都民に説明できなければ、監理団体の透明性ははかなれないのではないかと考えます。民としての資本が入っている株式会社である監理団体をこれからどのようにしていくのでしょうか?これからも水道局からの発注が増えることもあるでしょうが、民間の受注機会を奪ってまで増やすことは社会の流れと逆行します。運営体制諮問委員会では、完全な子会社化にも触れています。水道局としての展望をお聞かせください。

 冒頭、政策との連動性が高いものとは何かと伺いましたが、いろいろ聞いていますと公営企業の場合は、例えば産業労働局だとか建設局だとか生活文化局だとかがつくる監理団体とは少し異なるのかなと思います。公営とはいえ、料金を徴収する事業を運営している水道局が監理団体を持つ意義は、やはり公益性と経済性のバランスが一番重要ではないかと考えます。監理団体に任せたからこそ、信頼性を保ちながらも効率性が上がり、経済的にもプラスになったというような結果がなければいけないのではないでしょうか。監理団体に任せたのに、再委託で民間の競争入札にかけられているのでは、何の意味があるのかわかりませんし、民間の特定契約にしたって、そうであれば最初から局から随意契約で民間に委ねてもよいのではないかといういくつかの疑問点を指摘します。
また、資本の関係がある民の部分と公の部分の整理をしっかりしていかないと都民の納得を得るのはなかなか難しいのではないかと考えます。

 9月に発表された「東京都監理団体活用方針」では、「監理団体の担う業務は都の施策と社会経済状況の変化により、常に変化するものであることから、今後とも常に自らの存在意義を確認するとともに、実施すべき業務の見直しを行っていくことが求められます。」とあり、不断の見直しを行っていくとされています。都からの視点、監理団体からの視点だけでなく、第三者の視点を活かし、また都民から見た場合どうなのかということをしっかり認識し、監理団体の業務含めその意義を再確認した活用方法の見直しをしていっていただきたいと要望します。

 また、蛇足ですが、平成19年3月30日の東京都公報で、東京都情報公開条例第三十三条第一項の規定により局長が定める法人でPUCは指定されています。監理団体だからといって、ここまでで良いというような線引をするのではなく、都の基準に照らし合わせた公開性を求めて質問を終わります。